ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリで、2018年3月2日(金)に発表された。
山本耀司の作る黒ーノワール一色にまとめられたその世界はとても静かな始まりだった。ファーストルックから繰り返し続いたアウター群。秋冬らしい暖かみのあるウールで仕立てられたコートは、解体され再構築され独自のフォルムで佇んである。身体を包みこむコート、それとは別に肩から脱ぎかけのようなもう一枚のアウターが、時が止まったように静かに存在する。
時間の流れとともにウールコートのシルエットはバリエーションが豊かになる。開ききった襟、デコルテを美しく見せる首回り、アームの下から不可思議に伸びるもう一本のアーム。前身頃に整列したボタンたちと相反して、サイドやバックスタイルのシルエットは自由で開放的だ。
そこに現れた印象的なピース。これまでの変幻自在なシルエットと対峙する、シンプルなロングドレスだ。無駄な装飾は1つとしてない。そしてこのドレスの登場とともに、新しいノワールの世界の扉が開く。
続くのは、序盤と同じ解体と再構築、そしてレイヤードを繰り返して生まれたピースだ。しかし先と異なり大きな動きは全くない。静かであるからこそ浮き立つドレープの美しさやタックで作った豊かなボリューム。テキスタイルが見せる優美でなめらかな動きに心惹かれる。
フィナーレに向けて山本が投じたのはレザーのシリーズだ。黒の世界に放たれたブラウンのジャケットはパワフルにその存在感を発揮する。そしてそのレザーはスタイルを変え、黒のジャケットへと変わり、さらにコルセットへと姿を変える。
始まりは身体を重量感たっぷりのテキスタイルで始まったショー。ラストはそれらの洋服が剥ぎ取られ、女性本来の美しさを浮かび上がらせるようにシンプルでプレーンなものになっている。