フェンディ(FENDI)の2018-19年秋冬メンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク最終日の2018年1月15日(月)に発表された。
会場のドアを開けると、そこには空港があった。時刻板と荷物を引取るためのターンテーブルが忠実に再現されている。ハッピーな音楽が流れると、ターンテーブルが回りだし、乗客たちの荷物が流れ出す。そこには、スーツケースはもちろん、バイオリンケース、ゆりかごまでがあり、すべてに「FF」ロゴがあしらわれている。
到着後の出口から現れる男性たちは皆、旅を楽しむための装いを身に着けている。その中にはフェンディの“らしさ”が詰まっていて、「FF」ロゴは控えめにも大胆にもあしらわれた。コート全体で表現したり、チェック柄の中にさりげなく隠したり。“FAMILY”や“FABULOUS”の文字に馴染ませているのも面白い。カラーパレットも、「FF」ロゴで用いるブラウンカラーを主役としていて、ロゴが醸し出す気品を保っている。
メゾンの代名詞ともいえるファーアイテムは、ラグジュアリーなものとしてではなく、今季はあくまでカジュアルなものとして捉えている。もちろん、メゾンの上品さを欠くことはないが、フルジップのパーカーであったり、ブルゾンであったりあくまで旅に欠かせない“気軽さ”が感じられる。
スタイリングは旅に適した軽やかなものから、天候に左右されない重厚なものまで様々。例えば、前者はプルオーバーにトラックパンツやイージーパンツをあわせ、まるでガウンのようにコートをさらりと羽織ったスタイル。一方で、後者に匹敵するものと言えば、ダウンコートとフード付きのナイロンパーカー、柔らかなウールのトラウザーの組み合わせ。雨に備えて傘を被ったレインコートのルックまで登場している。TPOに合わせて街に繰り出せる男性、その在り方を多角的に表しているようだ。
特徴的なディテールとして、まるで飛行機の銅線を表すような斜線が目に留まる。その斜線には「FF」ロゴや今季を象徴するひとつの要因であるチェック柄のファブリックなどが並んでいる。また、ダウンコートはキルティングを斜めに配置することでそれを表現。シャツに至っては、ネクタイまで柄合わせをすることで、横線や縦線にはないシャープさを生んでいる。
最後に述べておきたいのは小物類。これこそ旅への必需品が目白押しで、リモワ(RIMOWA)とのコラボレーションにスーツケースを筆頭に、ボストンバック、クラッチバッグ、ボディバッグ、バックパックなどを提案。その中にも今まで述べてきた“らしさ”満点で、架空の空港のものであろう丸いロゴマークが今季っぽさも抱合して示しているのが印象的だった。