サンローラン(Saint Laurent)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク初日2017年9月26日(火)に発表された。
ショー開催の少し前、イヴ・サンローランのパートナーであり、メゾンを長年に渡って支え続けたピエール・ベルジェが亡くなった。ビッグメゾンを引っ張るアンソニー・ヴァカレロにとって、これは一つの転機となったのかもしれない。
なぜなら、今季のショーはとにかく盛大。会場はトロカデロ広場に設けられた特設スペースで、目の前にはパリのシンボル・エッフェル塔がそびえ立つ。ショー開始の鐘を鳴らすのはキラキラと瞬くエッフェル塔のライティングだった。
ヴァカレロらしいコンサバティブなドレスから、サンローランアトリエのオートクチュールを想起させるドレスまで並び、新作はサンローランの歴史を巡るよう。観客にはピエール・ベルジェの愛を語る言葉が配られ、コレクションピース、演出、会場の雰囲気…全ての要素が相まって、今季の広大なショーが作り上げられている。
ランウェイピースはキラキラとしていて眩い印象。ゴールドのドット柄チュールトップス、スパンコールのドレス、ビジューたっぷりのブルゾン、金ジャカードのジャケット。
アイコンであるスモーキングジャケットまでも、ラペルを羽のように大きく広げ、ボディ全体をスパンコールで包み込んでおめかし。特別な場を祝うように、エッフェル塔モチーフのベルベットブルゾンも登場した。
足元は、デビュー時よりヴァカレロを支えるピンヒールパンプスと、昨シーズンも登場したルーズブーツ。ブーツはパワーアップされていて、フェザーがつき、フリンジがつき、とにかくボリューミーに仕上げた。ベアドレスやアシンメトリートップスなど、これまで作り上げてきた、露出度高めなピースに、今季はショートパンツが交わる。極短で快活な印象を持ちがちだが、レザーやジャカード地など上質な素材で仕立てられているため、エレガンスを保っている。
これらも素晴らしいのだが、やはり豪華なドレス群がショーの要でありヒロインであった。フェザーを繋ぎ合わせて鳥のように見せた球体型ドレス。右から左へ身体を横切るようにビッグフリルをあしらったブラックピース。どれも一つひとつドラマがあり、アートピースのような仕上がりである。