ええ。非常にエキサイティングな経験でした。映画監督としての北野ファンもたくさん来てくれましたが、一般の人たちも大勢来場してくださったのです。今回の展覧会にはアートに馴染みがない人々にもアートを身近に感じてほしいということで、キタノ氏自身が様々なアイディアを出してくれました。アートに触れるきっかけとか、教育について彼はいつも気にかけていますから。
わかりやすく、手が届きやすい展覧会にしようと思いました。彼の持つユーモアを取り入れた、インスターレーションや観客参加型の作品がたくさんあるので、一般の人々にも北野ワールドの豊かさを気軽に楽しんでもらうことができたのだと思います。今回の展覧会はただ作品を観るだけでなく、自分で何かをするという、様々な側面を持った展覧会です。夢を見させたり、考えさせたり、感動させたり、人々のありとあらゆる好奇心に訴えかけるような機会を創り出せたと思います。
今回の展覧会は原則パリで開催されたものとほぼ同じです。パリでの展覧会そのままを他の場所で開催するからこそおもしろいのです(編集部注:一部、パリで開催された展覧会の後に制作された作品も展示される)。あらゆるものに好奇心を持って、自分が思うままに自由に楽しんで下さい。参加型の作品にもどんどんチャレンジすることも忘れないでくださいね。
これは一番難しい質問が最後に来ましたね。カルティエ現代美術財団では多様なアーティストを見出し、紹介したい思っていますが、一概に言うのは大変難しいです。パリには様々な美術館がありますが、そんな中でカルティエ現代美術財団としては、独自のストーリーをどう紡いでいくか、ということはいつも考えています。
それに、タイミングの問題もあります。タイミングはとても重要で、展覧会を開くには時と人と、そしてアーティスト本人の歴史の中でどのタイミングであるかということ、またカルティエ現代美術財団の歴史の中でのタイミングもあります。たとえば、森山大道氏はパリでは全く無名でしたので、良いタイミングについて熟慮を重ねました。横尾忠則氏も束芋氏も同様でした。
アーティストはひとりひとり全く異なりますし、展覧会そのものもそれぞれ考え方やコンセプトが違います。様々な条件の組み合わせがあって生まれてくるのがカルティエ現代美術財団の展覧会なのです。時にはきちんとすべてが見えていない状態のまま展覧会を行うこともありますよ。ですから、展覧会ひとつひとつにそれぞれの答えがあるのです。答えになりましたでしょうか。
【開催案内】
タイトル:BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展 Fondation Cartier pour l'art contemporain
開催期間:2012年4月13日(金)~9月2日(日)123日間
開館時間:11時~19時(金、土は20時 最終入場30分前)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
休館日:毎週月曜(祝日の場合は翌日※GW中は無休)、8月5日(日)
入場料:大人1,300円(1,100円)大学・高校生1,000円(800円)中・小学生800円(600円)
※未就学児無料 ※( )は前売り、15名以上の団体販売価格
チケット発売:
3月9日までセブン‐イレブン限定『絵描き小僧展 特製塗り絵帳』付き先行前売りチケット発売中
3月10日より各プレイガイドにて前売りチケット発売
問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
Official Website:http://www.btk2012.jp
主催:フジテレビジョン、カルティエ現代美術財団、東京オペラシティ文化財団
特別協賛:日本生命保険相互会社
協力:オフィス北野、ぴあ