マルベリー(MULBERRY)の2017年秋冬コレクションは、「New Heirlooms」がテーマ。
イギリスで生まれたマルベリーの根底にある英国の歴史と文化。ブランド設立当時の1970年代から受け継がれてきたアイデンティティをクリエイティブ・ディレクターのジョニー・コカがどう調理するか。クリエーションの起点はそこから始まっている。
インスピレーション源となったのは、1970年代当時のマルベリーにも影響を与えた、英国の乗馬および田舎の人々の暮らしだ。フランス語で“ル・スティル・アングレ”と呼ばれるこの要素は懐かしさと暖かさを併せ持っている。そこにコカは、都会的な要素、街の雰囲気を持ち込み、さらに様々な時代の断片をコラージュさせて、新しいスタイルを構築する。
コレクションの基盤となった田舎風ドレスは、細長いラインとゆったりとしたウエストがポイントだ。ドレスの上には、1920年代の装いを参考にしたレースや刺繍などをのせた。また、古い工芸品から着想した更紗コットンのかぎ針編みをジャケットの上、スカートの裾など至る所に散りばめて、手作り風の温かい空気を流し込む。
現代的な要素としては、機能性の充実が挙げられる。馬術から着想してスカートのサイドにはカッティングを。またキルティング素材も多用し、中にたくさん重ね着できるビックサイズのケープへと変身させた。
また、パンクの要素の取り込みもモダンな遊び心といえる。時折差し込んだニットソックスには、パンクミュージックから影響を受けたモヘアを使用。意表を突くのは素材だけでなく、足元から顔を出すミント、ウォリスブルー、パープルといった刺激的な色彩も同様だ。