アン ソフィー マドセン(Anne Sofie Madsen)の2017年春夏コレクションが、2016年10月20日(木)に東京・渋谷ヒカリエで発表された。
東京での発表は、昨シーズンに続き2度目となる。ファーストルックは、ブラックのオールインワン。パンツ部分の布が太ももあたりまで分裂し、歩くたびに揺れて舞う。テーマは“failure(失敗)”。まともな形の服に至らない不完全さが危うい雰囲気を醸し出す、フェミニンなワードローブが展開された。
この未完成さを象徴するのは、切りっぱなしの素材を組み合わせたルックたちだ。レザー、スエード、オーガンザ…。厚みも質感も異なる異素材のピースを、まるでテープを貼ったように重ねたり、待ち針で留めただけのようにして繋ぎ合わせ、ワンピースやスカートに仕立てていく。
切りっぱなしの布からは糸が飛び出し、縫い合わす糸も処理されずに垂れ下がったまま。このディテールは、より思い切ったフリンジという形になって現れた。服から飛び出す細かい付属物が空中で遊ぶ様子は、観る者になんともいえない浮遊感を味わせる。また、柔らかい素材にギャザーを入れて服全体に這わせたルックからも儚さが漂う。
終盤になると、ランジェリーを彷彿とさせるアイテムの登場によって、この危ういフェミニンさは決定的となった。光沢のある肌色のスリップのようなワンピース、また、肌が透けたミニ丈のドレス。ライン状にあしらわれたスワロフスキークリスタルの輝きが、“失敗”を超えた先の良き未来を示唆しているようだ。
アン ソフィー マドセンは、「人は皆、“失敗”を元に成長していく。失敗の感覚を入れることで、デザインにもユニークさを出したかった。」と語る。未完成の服が導く次なる形状への期待感が、あらゆる可能性を秘めたワードローブの魅力を伝えてくれた。