クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)の2017年春夏ウィメンズコレクションは、オノ・ヨーコのコンセプチュアル・アート集『Grapefruit』から着想を得た要素を、様々な“ピース”に取り込むことで、多彩なワードローブを構築した。
「LIFE/生きるという事」を連想の軸に要素を重ねていくのだが、その多様さ故に相反するもの同士が同居しなければならない場面にも遭遇する。そこに生まれる逆説的な響き合いは、互いに共存しながらさらにあらゆる意味を派生させていった。
シンプルになりがちな春夏のコーディネートを、生地のなびきや軽やかなレイヤリングで奥行きのあるものに。制服を思わせるボタンのディテールで、さりげないフォーマルを演出したかと思えば、そこに、ラフな素材をぶつけたり、スカートをさらに重ねて奇妙なシルエットを生み出したり。
また、カジュアルな要素として括り出されるデニムは、ドレープ感のあるドレスに。エッジ部分の切りっぱなしが、意図的な装飾としての役割を果たしたと思えば、ウォッシュした薄いインディゴが、多少の気だるさをまとわせる。対照的な印象の暖色レザードレスシューズを足元に合わせ、装いとのコントラストも表現している。
オノ・ヨーコがモチーフの1つということもあり、“IMAGINE”をプリントしたアイテムも散見。退廃的でありつつも洗練されたクリスチャン ダダの原点回帰ともいえるコレクションが完成した。