ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2016-17年秋冬コレクションが、2016年3月16日(水)、東京・渋谷ヒカリエで発表された。
「CONSCIOUSUNCONSCIOUS(意識と無意識)」。フロイトの“夢の精神世界”や、デヴィッド・リンチの映画『ツイン・ピークス』をインスピレーション源に、セクシュアルな世界観と幼稚性を共存させた。
繰り返される強いフラッシュの瞬きと共に、ショーは幕を開ける。現実と夢の世界を彷徨い、無意識の世界に迷い込んだ我々が目にしたのは、コットンとレーヨンの風合いが穏やかなレースで構築されたランジェリーを身にまとう女性だった。袖の長いニットやシャツ、長く垂れたタイなど、それぞれのアイテムが共鳴しあい生まれる柔らかな色気。アンニュイなモデルの表情も有り、その色気は、どこかダークな心境を映し出すものだ。
ワードローブは時間を追うごとに気配を変える。大ぶりなチェックにプリントされた迷彩のような柄は、男女が性的に交わる様子をデフォルメしたもの。その後、ポルノ柄の刺しゅうをビッグシルエットのスウェットに挿し込むなど、幼稚性とエロスの間が描かれる。フロイトの遺した格言の数々も、洋服を美しく彩る一部として組織された。
ショーを締めくくるのは、肥大化したアウターの数々。トレンチやステンカラー、フーデッド、ダブルブレストコートまで、どれも“大きすぎる”ほどに膨らんでいる。それとバランスをとるように、ボトムスは、クロップド丈にスリムなシルエットを一貫して採用。あれほどのコートを美しく見せるバランス感覚は脱帽するばかりだ。
ミニマルな印象が強いドレスドアンドレスドのアイテムが、メッセージ性をモチーフやテキスタイルにこれほど込めるようになったのは、ここ数シーズン。デザイナーの北澤武志はそれを心から楽しんでいる様子だ。これまで引き算を重ねてきたからこそ、伝えたいメッセージを素直に乗せるベースがある。彼らの描く世界観はこれからどう変化していくのだろうか。