ラマルク(LAMARCK)が、2016-17年秋冬コレクションを2016年3月16日(水)に発表した。住宅街の真ん中に佇むレンガ調の一軒家で、朝の9時からスタートしたショー。デザイナーの森下慎介の「ゆったりとした居心地のいい空間で楽しんでもらいたい」という優しい願いの通り、窓から注ぐ柔らかな光に照らされるこじんまりとした屋内で悠々と披露された。
ロングワイドパンツにスリットネックのコンパクトなニットを合わせたルックが始まりを告げ、着飾らないリラックス感溢れるムードを打ち出す。今季は、肩の力を抜いたクラシカルな装いがメインとなっているようだ。続くワードローブも同じ。たっぷりのフラウンスやタックが施されたスカート、ボリュームある袖のトップス、首元がゆるりとしたタートルのニット、そしてスリットの入った流動感あるノースリーブトレンチなど。
それらを構成するテキスタイルは、チェックやボーダー、ストライプといった直線的なデザインが主役で気難しいものは少ない。しかし、チェック柄には繊細な草花の刺繍をのせたり、ウールに光沢のあるフィルムを張り付けてボーダーにしたりと、手の込んだディテールが散見される。平穏な中に与えられた“心地のいい違和感”が感じ取れた。
「付属品にフォーカスしてデザインに取り入れたかった」と森下が語った丸いボタンは、さりげないアクセント。ラグランラインに列をなして、あるいは裾のスリットに添えられて…。白やべっ甲柄のボタンは、ふんわり光を取り込みながらファブリックに馴染んでさりげなく存在する。一方で、パイソン柄のシューズやチョーカーは思い切りのいい刺激をもたらしていた。
コレクションの中で表現した、変調ある穏和な雰囲気は、現代女性の内的側面と重なって見えた。優しさに垣間見る芯の強さ。今季のコレクションは、テーマでもある「TRANQUILITY(静穏)」の中で、新しい自分を発見できる気丈な女性の提案だった。