アジアンファッションミーツトーキョー(Asian Fashion Meets TOKYO)のベトナム代表として、気鋭ブランド「グエン・コン・チー(Nguyen Cong Tri)」が、2016-17年秋冬コレクションを、2016年3月15日(火)、東京・渋谷ヒカリエで発表した。
ベトナムの農業地帯を連想させる、穏やかな女性の歌声で幕を開けたアジアのファッションの祭典。現地女性の持つ美しさを表現したかったとデザイナーが語るように、伝統的な民族衣装“ao Ba Ba”を着用した、稲作に従事する女性たちをインスピレーション源に、ワードローブを構成した。
ショーの序盤を飾ったのは、深い茶を孕んだ艶のあるブラックを使用したアイテムの数々。米の稲穂をイメージしたシンボルマークをデザインの主役に、立体感のあるウェアが披露された。中でも注目は、ボトムスの豊かな表情。大ぶりなポケットが四角形や手袋型など様々に形を変え、シンプルになりがちなパンツを彩っている。
洋服たちは時間を追うごとに色彩を帯びていく。植物の茎のような光沢を放つ織地や、プリーツにフリンジを重ねたもの、密度の違うキルティングを合わせたもの……。その90%がベトナム製という様々なテキスタイルは、人々の手が紡ぎだしたからこそ生まれる美しさなのだろう。
一際ランウェイで輝きを放っていたのは、黄金色に輝く「Lanh MyA」というシルク、そして多くのルックで使用されていたヘッドギアだ。さらにラストには、今季を象徴するフレアドレスが観衆を湧かせた。民族の持つ力強さと、農業からくる命の迸り、そこに潜む女性の美しさ。これらが響きあった、コレクションが完成した。