A.P.C.(アー・ペー・セー)の2016-17年春夏コレクションが発表された。今回は、4年以上コレクションを発表していたパリから、ニューヨークへと舞台を移した。
“Authenticity=真正、本物”がコレクションの中心柱。素材をとってみても、トレンチコートやジャンプスーツ、スカートなどに使われる多くの伝統的素材に注力。また、セーターにはメリノウールを使用し、着心地の良さを追求。他にも真正、という意でベージュとオフホワイトのツイードコートは、シーズンを遡って復帰したアイテムとなる。
また、ミモレ丈のフレアデニムやスカートが印象的なアイテムとして登場。オールドな雰囲気を醸し出しながらも、70年代風のレザーブーツと丈感の組み合わせが、新しいシルエットを構築している。この“セクシーじゃないけれど、セクシー”という要素がコレクションにとって重要なポイントに。裸の足と適度なバランスをつけるルーズな白ソックスもそれを体現しており、デザイナー、ジャン・トゥイトゥ曰く、「靴下は新たなガーターベルト」なのだそう。
さらに、アクセサリーとしてバッグにも注目したい。全て斜め掛けにしたスタイリングを提案しており、ミリタリー感を演出。これらのレザーバッグは全て、なめし皮工場出荷前の皮を使うという、前シーズンに「Jamesバッグ」として発表したものと同じテクニックで作られている。
ここで改めて、なぜ今回はNYなのかという問いに戻る。それは、今コレクションが現地ブランド、アウトドア ボイスとの新たなコラボレーションの発表となるからだ。ジョギングスタイルにブーツ、コートにパーカーなど、アクティブウェアブランドとの共作によって出来上がったスタイルは、適度なマニッシュさも交えながら、スポーツと都会の街が溶け合っているニューヨークを体現した。