3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)の2016年秋コレクションは、日本の精巧な技術や着物にインスピレーションを得て新解釈した。
美しいテーラリングにのぞかせる着物のディテール。衿部分をそのまま落とし込んだワンピースやアウターは、身頃の重なりが着物そのものであり、紐をランダムに入り乱れさせたようなワンピース、ウエストでしっかり結び目を作ったニットは、紛れもなく帯を想起させる。そんな中に、時折マニッシュなテーパードパンツを提案することで、現代のテーラードと程よく掛け合わせている。
また、レイヤードされたタンクトップは鎧の銅部分に、ピーコートのウエストラインやトップスの随所に配された紐は甲冑を繋ぐ飾り紐に似ている。悠々自適に現代を生きる女性の強さを、武将の力強さに照らし合わせているのだろうか。日本をベースにしながら多角的に表現することで、理想の女性像が次第に具現化されていく。
無骨な要素を取り入れながらも、上質感あふれる滑らかなムードが崩れないのはテキスタイルに理由がある。用いられたのは、ヴェルベットやラメ入りのグラマーな素材。柔らかく光を反射し、体をなぞるように揺れ動くことで女性らしさを導いた。また、イチョウの葉はワードローブに舞いコレクションを華やかに彩っている。
今季のテーマであった「自分の価値観で生きる人生」というマインドセット。そこには、日本の普遍的な美があり、新たな価値観としてモダンに解釈することで、現代女性の強い生き様見出したようだ。