ディースクエアード(DSQUARED2)が2016-17年秋冬コレクションを、ミラノ・ファッション・ウィークで発表した。
もしイギリスと日本が出会ったらーー。デザイナーであるケイティン兄弟のアイデアは、今シーズン「mangapunk(マンガパンク)」というテーマとして表現された。ディースクエアードのアイデンティティである、デニムやレザー、インパクトのあるグラフィック。そこに、イギリスと日本を象徴する様々な時代のカルチャーをミックスすることで、一度見たら忘れられないような、強烈なコレクションへと導いている。
中でも特に目立つのは、両国における「不良文化」のエッセンスだろう。まずは1970年代イギリスを席巻したパンク・カルチャー。これはスカートやジップパンツ、ノーズの尖ったレースアップシューズとして、散りばめられている。そしてもう一つが、日本における暴走族やヤンキーなどの不良が好んだ、例えば特攻服のような独自の文化だ。これは主に、ジャケットやパンツの刺繍デザインとして採用。よく見ると漢字が「三越前」「上野広小路」「溜池山王」「表参道」など銀座線の駅名になっているユーモアも含めて、ヨーロッパ的なモードファッションのイメージを見事なまでに解体する。
それだけではない。日本の伝統文化は、空手の道着風シャツや桜のモチーフとして、日本の現在の象徴であるオタク文化は、アニメキャラクターを雑多にあしらった大胆なグラフィックとして表現。そうした要素は、男らしくエッジの効いたブランド得意のスタイルに取り込まれていくことで、より存在感を増していった。
ここ数シーズン、モード界ではデザインに日本的な要素を取り入れるブランドが少なくない。この流れは「ネオ・ジャポニスム」とも呼ばれるが、こうしたクリエイションがとりわけ刺激的に感じられるのは、私たちの身近にいつも、日本文化があるからなのだろう。国や時代を超え、文化をミックスすることは、デザイナーに取ってデザインの可能性を拡張することでもある。そうした意味で日本文化は、かつての「ジャポニスム」のように特別な影響力を持った文化ではなく、今の世界における一つの強力な色彩だということを教えてくれるコレクションだったのではないだろうか。