ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)の2015-16年秋冬コレクションがフランス・パリで発表された。
インスピレーションを与えたのは、南アメリカに住む民族「チョラ」。ラテンアメリカの先住民であるインディオや白人とインディオの混血であるメスティーソの女性たち、またスペインの生活様式を取り入れながら、18世紀を南米で過ごした女性たちのことも指す。今季は彼女たちの美学に着目しつつ、オートクチュールのような繊細な手法を交えたワードローブが披露された。
細やかなステッチから見て取れるヴィクトリア調のムード、アニマルモチーフを採用した野性的な一面。一方で、男性的な側面と女性的な側面も共存しており、様々なカルチャーのミックスが特徴のよう。
2015-16年秋冬メンズコレクションでも見られた、真っ赤なラインの装飾は継続。ラペルを重ねたモーニングジャケット、サイドラインのパンツなどが登場し、男性的な要素を表現している。一方でピーコックのドレスは、女性らしいスリムなシルエット、斜めに配したラッフル、軽やかな素材をセレクト。大胆なスリット入りのラッフルスカートや大振りなフラワーモチーフドレス、ボウタイ付きのシフォンブラウスといったフェミニンなピースも揃っていた。
コレクション全体に共通した世界観が広がっているのは、ノーズリングやジュエリーラインのメイクのおかげだろうか。華やかなドレススタイルもマニッシュなジャケットスタイルも、ポエティックな雰囲気を醸し出している。
厳選した素材選びは、オートクチュールさながらで、ミンクファーのツイストフリンジ付きコートやオーストリッチのレザージャケット、シルクベルベットのプリントドレスなどが並んだ。一方でローエッジの仕立ても採り入れ、切りっぱなしのヘムや裾が退廃的な空気を強め、ダークな世界観を構築していた。