メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)が、2015年春夏コレクションをパリで発表した。
1940年代のイギリスで配給された手帳がインスピレーション源となった今季。戦時中の女性たちに贈られたこの本は、節制しながらもエレガントなファッションを楽しむことを伝えいた。そんな当時の生活に対する教えとメゾンのアイデンティティが重なり合い、現代的なワードローブとなって披露された。
イメージは家にいる妻が、夫のスーツと昔着ていたドレスなどを、つなぎ合わせて作った服。新しいものを買うではなく、手持ちのものを繕うという考えがコレクションの至ることろに隠されている。
テーラードジャケットに見られるピンストライプの濃紺地は多く用いられ、ワンピースとドッキングされたり、素材そのものにフリルをあしらって新しいドレスにしたりと、様々な姿になって登場。また何度も身に着け、ついにはサイズまで小さくなってしまった様子を思わせる、ミニサイズのニットカーディガンなど、一着一着にエピソードがあるところも面白い。
大きなアイレット(鳩目)も特筆すべきポイントで、ノースリーブジャケットやスカートなどの服だけでなく、小物にもディテールとして取り入れられた。“インサイドアウト”のアイディアから生まれたバッグは斬新な仕上がり。当たり前だが、通常バッグは入れ物になっており、その中にウォレットやポーチを入れるはずである。しかし今回展開されるのは、シルバーのリングに穴の開いた大きさ違いのクラッチバッグ、ウォレット、さらにはブレスレットをかけて、吊るして持つというもの。バッグには物を入れるという固定概念を覆す一品だ。
特徴的なモチーフとしては、どこかレトロな魅力をもつデイジー柄が挙げられる。こちらは総柄だけでなく、大胆にテーラードジャケットに手書きでペイントされたほか、紳士用靴下のようなニットウェアとなり装いを彩る。何種類ものジャカード生地をパッチワークしたジャケットは、袖だけマニッシュなストライプにすることで、可愛らしさをセーブ。一方、バッグに飾った花冠のような繊細なアクセサリー、キッチュなサングラスといったアイテムは、マスキュリンなパンツスタイルに可愛らしいアクセントを添えていた。