アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)の2025年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリにて発表された。
今季のアクネ ストゥディオズの着想源となったのは、ねじれた家庭の情景だ。独自のルールが存在する、見慣れた光景が広がる家の中。そこは居心地がよかったり悪かったりと、その中で暮らす人間の感じ方も様々だ。こうした、当たり前のように見慣れた家庭の情景を捻じ曲げるようにして、家具や流し台、額縁、カーテンといったモチーフを、衣服として再構築していった。
窓を覆い、外部からの視線を妨げるカーテンは、ドレスとなって登場。床に向かって垂れるドレスの裾は、まるでカーテンそのものだ。たっぷりのドレープ使いも特徴で、裾はもちろん、ウエスト部分にもギャザーを寄せ、カーテンらしい陰影を作り出した。
シルエットは極端に膨らみ、縮んでいるのが印象的。たとえば、ブランドならではのウォッシュド加工を施したデニムを見ると、異様な膨らみに気が付く。ウエストや裾はいたって通常であるものの、ヒップ周りや太もも部分がぷっくりと盛り上がり、ボリューム感を創出している。
愛用しているうちに縮んでしまったかのようなウェアにも目を向けたい。洗濯機や乾燥機に入れて縮んでしまったのか、絶妙な丈感に設定されたモヘアのニットカーディガンなどが例に挙げられる。また、テーパードパンツは思いがけないスピードで引っ張られて歪み、しわが寄ったかのようにしてデザインされている。
ブランドの代名詞でもある、デニムやレザーのアイテムはより革新的な表情を見せる。発泡スチロールをボンディングし、タンブル加工を施したラム・レザーのジャケットは、まるでデニムのような見た目に。ところどころ歪んでいるディテールもポイントだ。
また、今シーズンより新たに、ヴィンテージのカメラバッグに着想を得たハンドバッグ「カメロ(Camero)」がデビュー。コンパクトなフォルムが特徴だ。加えて、マルチポケットの「ツールバッグ」は、モッククロック・レザーやクリスタルのリボンでアレンジされた。