「想像の宝庫 ジャン・シュランバージェ」と題されたルームはその名の通り、「バード オン ア ロック」の生みの親であり、20世紀の最も重要なジュエリーデザイナーのひとりであるジャン・シュランバージェの作品群に触れられる。
ジュエリーの世界に革命を起こした人物とも言える彼の作品は、ティファニーの創造を象徴するものばかりで、とびきりエレガントでありながら、時に愛らしく遊び心にあふれている。
代表作「バード オン ア ロック」は、このエリアでさらにフィーチャーされ、7つの重要なデザインが展示される。それぞれのストーンの個性に合わせて、鳥のモチーフも少しずつ姿を変えており、じっくり見比べるとさらに面白い。
例えば、1902年に発見された、上品で鮮やかなピンク色のストーン“クンツァイト”を止まり木に見立てたデザインは、遊び心とエレガンスの象徴とも言えるだろう。ちなみに“クンツァイト”という名はティファニーの宝石鑑定士ジョージ・F・クンツにちなんで命名された。
次は、日本芸術との関係性に迫るルーム「日本への愛」に足を踏み入れることとなる。ティファニーと日本の関係は、1837年、創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーが、アメリカ市場では稀であった日本からの輸入品を販売し始めたことから始まった。
このルームでは、そんなティファニーと日本の関係性を表す様々な作品を展示し、それがどのようにティファニーのクリエイションへと影響していたのかを紐解いていく。
最初のプロジェクションマッピングでも登場した、美しいランプが特に目を引く。日本芸術へのオマージュを捧げる、ガラスとエナメルの色鮮やかなランプは、両者の絆を照らし出す。また、バンブー(竹)など日本を感じさせるモチーフを採用したネックレス、日本の伝統工芸である漆塗りの技法をいかしたバングルなどのジュエリーもこの部屋を彩っている。
そこを抜ければ「夢の世界」。まるでどこかのストリートを思わせる一直線の道があり、両脇にはティファニーのショーウィンドウが再現されている。ジーン・ムーアをはじめとするアーティストらによって創作されてきた、ウィットに富んだディスプレイは、ジュエリーを引き立てるだけでなく、ブティックへと足を運ぶ人々にワクワクを与えてきた。
片側には、ダイヤモンドの美しさに焦点を当てたディスプレイを、もう片側には花や生物を描いた空想的な作品を展示。そして一番奥には、日本をテーマに掲げ「ティファニー ワンダー」のために特別にデザインしたディスプレイが飾られている。