ファセッタズム(FACETASM)の2024-25年秋冬コレクションが公開された。テーマは「DO WHAT YOU LOVE」。
アメリカの映画監督スパイク・ジョーンズへの愛とリスペクトを込めた今季のファセッタズム。スパイクは、短編・長編映画にしろミュージックビデオ作品にしろ、その斬新なアイデアで注目され続けてきた人物だ。独創的な世界観で、見る者を驚かせ、魅了している。
10代の頃からスパイクのファンであったデザイナーの落合宏理は、スパイクが生み出した様々な作品に着想を得て、“温かくて心地よい、孤独感と恋しさが入り混じった”コレクションを作り上げた。
落合がピックアップしたのは、スパイクが手掛けた5つの作品。たとえば、モーリス・センダックの同名絵本を実写映画化した『かいじゅうたちのいるところ』にインスパイアされた、“獣感”溢れるルックに注目。彼らと誰もが幸せになれる世界を築こうと奮闘し、かいじゅうたちを束ねる少年マックスを思わせるような出で立ちは、さながら“王様”のよう。無数の糸やひもを束ねたフリンジが目を惹くニットトップスや、ふわふわとした起毛ニットを重ねている。威厳を示すかのように、特に肩部分を盛り上がらせ、フリンジを用いてあくまでボリューミーに仕上げた。
近未来のロサンゼルスを舞台に、AIと恋に落ちる男性を描いた『her 世界でひとつの彼女』から着想を得て考案したのは、近未来感を表すサークルシルエットだ。ハーフジップのプルオーバーやダッフルコートが真ん丸シルエットで展開され、どこかフィクションめいた雰囲気をもたらしている。
鮮やかなラインやカラーブロックを配したナイロンジャケットやパンツにも注目。すべて逆再生で制作されたことでも知られるロサンゼルス発のヒップホップグループ、ザ・ファーサイドのMV「Drop」内の衣装をイメージしたものとなっている。ラインやカラーブロックだけでなく、ビッグポケットもアウターの胸元に再現した。
トレンチコートに採用された、50色以上の色彩が鮮やかに伸びていくプリントも印象的。このプリントは、2018年、実際に部屋を動かすなどして不思議な映像を作り上げた「Apple HomePod」のCMにインスパイアされたものだ。ウエストでマークしたベルトより上部にこのプリントがあしらわれ、まるでトレンチコートの中で色が伸びているかのように見せている。