コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2014-15年秋冬コレクションが、パリファッションウィークで発表された。
綿入りのニットが、身体に複雑に纏わりついていたり、ぐるぐると巻き付いていたり……。手、顔、胴体といった人の身体のあるべき部位を覆い隠し、そして装飾することで、まるで別の生物のように見せる。その姿からも分かる通り、今季のコレクションの裏にあるキーワードは“モンスター”だ。モンスターといっても、アニメの世界で登場するキャラクターではない。人々のもつ悩みや怒り、言葉では表せない感情がクリエーションにぶつけられているようだ。
コレクションに登場する一体一体は強烈なインパクトを放つが、既存のアイテムであるテーラードの形は原型をとどめている。それでもそのサイズ感は、これでもかと言わんばかりに大きく、肩のライン、腕の長さを完全にカモフラージュ。綿入りの装飾が肩から腕、そして袖口にまでのびたストライプのジャケットは、巨大な上半身を作り出す。
憎悪や悲しみなど、人それぞれが異なる想いを持つように、心の中を映し出すモンスターたちの姿もまた様々である。両腕をすっぽりと覆い隠した黒のニットは、筒形のクッションのようなものが顔や首回りにつめられ、球体のようなフォルムに。その他にも顔をすっぽりと覆いながらも胸元をあらわにしていたり、編込んだニットを首から下げて何本も腕があるかのように見せていたり。
ボリュームのある上半身をひきたてるように、下半身はタイツがほとんど。白地にほつれたニット風のプリントが施されたタイツに、足元はベルト付や、メタルで縁取った穴あきのフラットシューズを合わせている。ラストは、床とほぼ水平に広がるチュール×ニットのスカートルックでコレクションは幕を閉じた。