展覧会「横尾忠則 原郷の森」が、神戸の横尾忠則現代美術館にて、2023年5月27日(土)から8月27日(日)まで開催される。
横尾忠則は、2022年に小説『原郷の森』を発表した。本書では、主人公のYが三島由紀夫と宇宙霊人に導かれ、すでにこの世を去った人びとと芸術や人生について語りあっている。マルセル・デュシャンをはじめ横尾が私淑する芸術家から、黒澤明といった実際に交流のあった文化人、そしてブッダや親鸞まで、多岐にわたる登場人物は、みな横尾に影響を及ぼしてきた人びとであり、横尾の作品群のなかにもしばしばその存在が認められる。
展覧会「横尾忠則 原郷の森」では、『原郷の森』に関連する横尾の絵画や版画を散りばめて展示することで、言葉で表現されたこの小説の世界を視覚的に立ち上げてゆく。
2階展示室では、『原郷の森』の舞台となる森を模した空間のなかに、関連する横尾作品と作中のセリフを配置することで、この小説の世界を象徴的に表現。幻のような森が浮かびあがる《(原郷の森)》や、三島などの主要人物の姿を早くも認めることができる1994年の《死の愛》、デュシャンをテーマとした《デュシャンピアン》など、多様な作品を散りばめることで、小説の世界を星座のように浮かびあがらせることを試みる。
一方、3階展示室では、横尾芸術における6つのキーワードに着目し、『原郷の森』の住人たちの会話を通してこれらを掘りさげてゆく。たとえば「首吊り縄」は、1965年のポスター《TADANORI YOKOO》に描かれて以来頻出するモチーフであり、芸術家としての横尾像を暗示している。また、2000年から「Y字路」シリーズを手がけてきたように、「反復」とは横尾芸術を特徴付ける手法のひとつである。会場では、兵庫県立ピッコロ劇団の協力のもと、小説中のセリフを録音し会場で流すことで、横尾の作品を見ながら『原郷の森』の会話に耳を傾けられる展示空間を展開する。
展覧会「横尾忠則 原郷の森」
会期:2023年5月27日(土)〜8月27日(日)
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(7月17日(月・祝)は開館)、7月18日(火)
観覧料:一般 700円(550円)、大学生 550円(400円)、70歳以上 350円(250円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※障がい者は各観覧料金(ただし70歳以上は一般料金)の75%割引、介護者(1名)は無料
【問い合わせ先】
横尾忠則現代美術館
TEL:078-855-5607(総合案内)