ランバン(LANVIN)の2023年秋冬コレクションを紹介。
つくる喜びや、発見と再発見の喜びを得られる創造という行為は、“渇いた目”への贈り物。アメリカの彫刻家クレス・オルデンバーグが述べた言葉は、ブルーノ・シアレッリが手掛けた今季のランバンを象徴するコンセプトでもある。また、本コレクションは、18世紀やルネサンス、中世など、ジャンヌ・ランバン自身がインスパイアされた時代を映し出し、歴史あるメゾンのエレガンスさと活気に再アプローチしたものとなっている。
創造の喜びを表すのは、煌びやかで繊細な装飾だ。たとえば光沢が美しいスパンコール、繊細なシルクドレスに施したクリスタルの刺繍などは、ジャンヌ・ランバンのアパートメントにある鏡張りのインテリアやムラーノガラスの置物、香水のボトルにインスパイアされている。
美しい装飾の中でもひと際目を惹くのは、初めてガラスで制作したメゾンのシグネチャーである“メロディ”ビジューを渦巻き状のフォルムで表現したもの。軽やかな素材のドレス一面に配しており、その様は一気に花が開いたかのようだ。
ランバンのクチュールの精神は、装飾だけでなくファブリックからも見て取ることができる。たとえば、たおやかに揺れるシルクのドレスには、同系色のグリーンで大きな花をプリント。ぱっと見はドレスに陰影を落とすドレープのようで、しかしよくよく見れば美しく咲く花が描かれている。同様の花は、黒字のドレスにはくっきりとプリントされている。
シルエットは、これら装飾やファブリックが際立つクラシカルなムードで。玉状の縮みをかけたブークレツイードで仕立てたテーラードコートは、中世の騎士が着用していたかのようなクラシカルなシルエット。コートやスカートは、身体に沿ったセンシュアルなラインが特徴だ。