平庫ワカの人気漫画『マイ・ブロークン・マリコ』が実写映画化。2022年9月30日(金)に公開される。
平庫ワカの『マイ・ブロークン・マリコ』は、2019年にオンラインコミック「COMIC BRIDGE」で連載されるやいなや、毎話SNSでトレンド入りするなど注目を集めた人気コミック。ほぼ無名に近い新人作家の初連載作にも関わらず、数々の賞を受賞し、異例の快挙を成し遂げてきた。
『マイ・ブロークン・マリコ』の物語は、主人公のシイノトモヨが、親友であるイカガワマリコの遺骨を持って旅に出るというもの。ドラマチックで疾走感溢れるストーリー展開や、人間の儚さ、逞しさが、多くのファンの心を惹きつけている。
そんな『マイ・ブロークン・マリコ』が、待望の映画化。主人公を永野芽衣、その親友役を奈緒が務め、永野は鬱屈した毎日を送るやさぐれたOL・シイノトモヨを、奈緒は学生時代から父親の虐待を受け、ある日命を絶ってしまう・イカガワマリコを演じる。
本記事では、永野芽衣と奈緒にインタビューを実施。本作に出演した2人の心境や、“新たな挑戦であった”という役に対しての想いなどについて話を聞くと、2人の強い絆を感じることができた。
・永野さん、奈緒さんは、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」に続いて、2度目の親友役での共演となりました。キャスティングが決まった時の率直な感想をお聞かせください。
永野:こうして奈緒ちゃんとまた違った形の親友役をできて、縁があるなあと感じたのと同時に、また共演できてすごく嬉しかったです。今回演じたシイノという役は、タバコをふかし、荒々しい口調や態度のやさぐれた会社員。今までになかった役柄だったので、不安や葛藤もあったのですが、奈緒ちゃんとなら大丈夫!という確信があったので、全力で演じ切ろうって強く思いました。
奈緒:私も芽郁ちゃんと共演するのは、仕事を続ける上での1つ目標になっていたので、オファーをいただいた時は純粋に嬉しかったです。しかもこんなに近い役で演技をすることができてすごく光栄ですし、2人だからこそ生まれるものがあるんじゃないかなって、お話を聞いた時に思いました。
・お互いに信頼を置かれているのですね。お2人の今までの関係があったからこそ、演じられた役だと思いますか。
永野:間違いなくそうですね。ここまで今までの関係性が影響する作品ってあるんだなって思うほどです。シイノとマリコって、切っても切っても切れないっていう特殊な関係性なのですが、もし初めての方とだったら、この関係性になるまでにすごく時間を要したと思います。撮影期間が短い中で、本物のシイノとマリコのように想い合えたのは、奈緒ちゃんだったからこそだと思います。
奈緒:私も全く同じ気持ちです。今回私は回想シーンが多かったのですが、回想シーンってすごく難しくて。大体生きている中でのハイライトが描かれるので、どんな人物であったか考えながら作り込まないといけないんです。でも今回は芽郁ちゃんと一緒だったことで、自然と湧いてくる感情があって、作り込まなくてもマリコになれたと思います。演じている中でも、この関係性だから描けたものがあるっていうのはすごく実感がありました。
永野:オファー受けてから、奈緒ちゃんと話した時に、私たちなら大丈夫だねって確認し合ったんです。一緒に手を繋いで作品に飛び込んでいった感覚はすごくあります。
・今回の役は今までのお2人のイメージからは想像できない役柄であったかと思います。永野さんは、シイノを演じられるにあたって、クランクインをする3、4ヶ⽉前から喫煙者になったり、シイノが履きつぶしているマーチンを常に履いて過ごしたとか。
永野:役作りは、入念に行いました。というのも今回のシイノという役が、普段の自分に近いと思う部分があまり見当たらなくて。どうやったらこの役に近づけるんだろうと考えた時に、シイノがやっていることは全部トライしようと思ったんです。
・例えば、どんな役作りをされたんですか。
永野:シイノは中学生からの喫煙者という設定だったので、タバコの吸い方や持ち方、どうやったら自然に見えるかと、いろいろと研究しました。また原作に出てくるマーチンも、撮影が始まる11か月前から用意してもらって、撮影までの間、とにかくいろんな道を自分の足で歩いて慣らしていきました。そのおかげで、原作にあるリアルな使用感を再現できたかなって思います。
・実際に演じてみていかがでしたか。
永野:やっぱりすごく難しかったです。でも新しいことに挑戦するのは、刺激になりましたし、楽しかったです。ベッドでたばこを吸うシーンがあって、灰がベッドに落ちるのを無意識にかばっていたのですが、カメラマンさんが、タバコを下向けていいよってアドバイスをしてくれて。そもそも、ベッドでタバコ吸う人は、そんなこといちいち気にしないかって思ったんです。そんな風に、新たな役柄だったからこそ演じている中での気づきがたくさんあって、貴重な経験ができたと思います。
・では、シイノになりきることができたと。
永野:自分が出せるのはこれが限界だって思うぐらいやりきったと思っています!あとは観てくださるみなさんが、シイノになりきれているなって思ってくれたらとっても嬉しいです。