特別展「みちの歩き方─路上の観察者たち」が、大分市美術館にて、2022年6月3日(金)から7月3日(日)まで開催される。
現代美術家の赤瀬川原平は、散歩に出かけては路上を観察し、「胸騒ぎ」を覚えるものを撮影、報告した。そのひとつが、赤瀬川が自ら定義した「トマソン」だ。それは、たとえば上がった先に入り口も何もない階段「純粋階段」に見るように、建物などに付着して保存されている“無用の長物”を指している。赤瀬川の活動の根底には、このように見慣れた光景をよく観察し、面白さを見出す視点がある。
特別展「みちの歩き方─路上の観察者たち」では、赤瀬川原平のようにみちを歩き、よくみることから作品を展開させる「路上の観察者」というべき現代作家を紹介。大分市美術館のコレクションである赤瀬川のシリーズ作品「トマソン黙示録」とともに、若手作家の安部沙保里、牛島光太郎、野村菜美の作品を展示する。
安部沙保里は、散歩中に撮影した風景をもとに油彩画を制作。抽象化された画面は、その風景を見つけた際の喜びをも表現したかのような輝きを湛えている。また、牛島光太郎は、路上や海辺で偶然拾った「もの」と、刺繍で綴った「ことば」を組み合わせることで、ありふれた「もの」の周囲にも小さな物語があることを想像させるインスタレーションを手がけている。さらに野村菜美は、散歩や乗り物での移動中に撮影した風景を版画化し、鑑賞者をそこへ行ったかのような気持ちにさせる作品を制作してきた。
本展に出品する作家には、路上を歩き、観察し、ふだんは見落とされてしまうものにまなざしを注ぐという姿勢が通底しているといえる。会場では、それぞれのアーティストが見慣れた路上の光景を独自の視点で切り取り、表現した作品を目にすることができるだろう。
特別展「みちの歩き方─路上の観察者たち」
会期:2022年6月3日(金)〜7月3日(日)
会場:大分市美術館 企画展示室
住所:大分県大分市大字上野865
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:6月13日(月)・20日(月)・27日(月)
観覧料:一般 600円(500円)、高校生・大学生 400円(300円)、中学生以下 無料
※( )内は20人以上の団体料金
※上記観覧料でコレクション展もあわせて観覧可
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の提示者および介護者は無料
※本展では「大分市美術館年間パスポート」を利用可
■出品作家
赤瀬川原平、安部沙保里、牛島光太郎、野村菜美
【問い合わせ先】
大分市美術館
TEL:097-554-5800