企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」が、愛知の豊田市美術館にて、2022年6月7日(火)から9月4日(日)まで開催される。その後、島根県立石見美術館、東京都庭園美術館に巡回する。
1910年代から30年代にかけて、西欧を中心とする世界各地には、多様な「モダン」のかたちが現れた。つまり、合理的で機能的なデザインを追求する「モダニズム」の時代である一方、大衆消費社会が進展するなか、人びとの欲望をかき立てる装飾に重きが置かれる、儚い「モダニティ」の時代でもあった。そしてこれら2つの「モダン」も、そのうちにいくつもの「モダン」を含み、それらが複雑に関係しあっていたのだった。
当時の作家たちは、情報を素早く共有し、互いに影響を及ぼし合っていた。1914年に勃発した第一次世界大戦に象徴されるように、この時代における最大の出来事は、世界が同期し合うようになったということである。そのなかで作家たちは、ときに国やジャンルを超えて交流し、共鳴するようにしていくつもの「モダン」のかたちを探求した。その領域は、絵画や彫刻、家具、洋服にとどまらず、建築や都市まで、いわば人びとの生活空間全体に及んでいる。
企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」では、これまで別々に紹介されてきたモダンデザインと装飾芸術、ファッションという異なる領域の関わりに光をあて、約400点の作品を一堂に集めて紹介する。
本展では、1910年代から30年代にかけて興った多様な「モダン」のかたちを紹介。ウィーン工房とモダニティの展開から、同工房とポール・ポワレの関わりをはじめとするフランスのファッション動向、フランスにおける室内装飾、そしてバウハウスばかりでなくフランスや日本におけるモダンデザインの動向に至るまで、国とジャンルを超えた結びつきに着目しつつその展開をたどってゆく。
また、第一次世界大戦後における応用芸術領域の女性作家にもフォーカス。たとえば1903年に設立されたウィーン工房では、フェリーチェ・リックス(上野リチ)らが愛らしくロマンティックな作品を手がけた。一方、バウハウスでは女性作家たちが新素材による織物を探究。加えて、画家のソニア・ドローネーはファッションにも携わり、これが抽象絵画の理論を深めることになった。会場では、数々の作品を通して女性作家の活躍に光をあてる。
さらに、バウハウスにとどまらないモダンデザインの動向も紹介。バウハウスと袂を分かち、より職人的な観点から実際の生活にふさわしい応用芸術を探ったブルク・ギービッヒェンシュタイン美術工芸学校や、ル・コルビュジエやシャルロット・ぺリアンらも名を連ね、フランス独自のモダンデザインを展開した現代芸術家協会UAMなどを取り上げる。
企画展「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」
会期:2022年6月7日(火)〜9月4日(日) 会期中に一部展示替えを実施
[前期 6月7日(火)〜7月24日(日) / 後期 7月26日(火)〜9月4日(日)]
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館)
開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
観覧料:一般 1,400円(1,200円)、高校・大学生 900円(700円)、中学生以下 無料
※( )内は前売券および20名以上の団体料金
※障がい者手帳の所持者および介添者1名、豊田市内在住または在学の高校生、豊田市内在住の75歳以上は無料(要証明)
※前売券は、豊田市美術館(5月8日(日)まで)、T-FACE B館2階インフォメーションカウンター(6月6日(月)まで)にて販売
※そのほかの観覧料の減免対象者・割引などについては、美術館ウェブサイトを確認、あるいは美術館へ問い合わせのこと
※会期、関連事業の内容、来館者の受入態勢などは変更となる場合あり(最新情報は美術館ウェブサイトにて確認のこと)
■巡回情報
・島根県立石見美術館
会期:2022年9月17日(土)〜11月28日(月)
住所:島根県島根県益田市有明町5-15
・東京都庭園美術館
会期:2022年12月17日(土)〜2023年3月5日(日)
住所:東京都港区白金台5-21-9
【問い合わせ先】
豊田市美術館
TEL:0565-34-6610