イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、2022-23年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
「Sow It and Let It Grow」をテーマに据えた今季は、植物の野性とその美しさを起点にクリエーションをスタート。撒いた種が根を張るところから始まり、発芽して根や茎、葉をさらに伸ばしていく。地中から地上へと光を追い求めるようにして成長する生き生きとした様子や、野菜のみずみずしさ、成熟した果実や豆の鮮やかな輝きを、衣服に落とし込んでいる。土を思わせるブラックやブラウン、鮮やかな実のようなピンクやオレンジ、葉・茎を連想させるグリーンなど、細やかな色使いにも注目だ。
土の中でうごめき、うねるようにして張り巡らされていく根や、根を土台にして育っていく植物の生命力は、再生ポリエステル糸を採用し、曲線状に編んだリブニットで有機的に表現。渦巻くように立体的なフォルムに仕上げたビスチェや、連動した模様のワンピースなどのパーツとして登場している。
四方八方に伸び、繁る植物の根や茎の動きを表現した無縫製のニットワンピースやニットトップスは、袖や襟を定めず、いくつかの“穴”を配した自由度の高いデザインに。どこの穴から腕を出し、頭を出すかによって様々なフォルムで着ることができる。垂れ下がったパーツを腰や首周りに巻き付けたり、そのまま垂らして着たりと、変化をつけながら着る、という着方そのものに、刻々と変化し成長していく植物の姿を重ねることができる。
また、製品染めによる収縮を駆使して、カーブを描くようにしてギャザーを効かせたドレスは、直線的なパターンメイキングを採用することでフォルムの緩急をより一層際立たせ、躍動感のあるユニークな佇まいに。ウールベースのドレスやジャンプスーツ、コートは、四角形の生地の重なりで構築したドレープが優雅さを演出している。
さらに、“実り”や成熟を思わせるデザインも登場している。伝統的な染織技法「絞り染め」を施したプリーツを用いたドレスは、丸いフォルムが3つ連なる、“豆とさや”のようなシルエットがプレイフルな1着。職人の手によって1点ずつ絞り染めを行うことで生まれる、色彩のコントラストは、自然の風景から色彩をそのまま抽出したかのような繊細さを伴っている。
野菜や果物の断面をダイナミックに落とし込んだワンピースやジャケット、パンツは、フレッシュな発色がアイキャッチ。京都の職人による手描きの「引き染め」により、実の質感や水分量、種の感触が伝わってくるかのような模様が表現されている。野菜や果実ならではの、なだらかな曲線が引き立つように、前後の身頃で縦半分に絵柄があしらわれているのも印象的だ。