アンリアレイジ(ANREALAGE)の2022年春夏コレクションのテーマは、二次元と三次元を表す「DIMENSION」。デザイナー森永邦彦は、新たな挑戦として細田守の映画『竜とそばかすの姫』のアニメーションを用いたデジタルコレクションを発表した。
発表の舞台となったのは、劇中に登場する仮想空間“U”と真っ白な現実空間。“U”に設置された空宙に浮くガラスのランウェイをCGアバターモデルがウォーキングしたかと思えば、仮想世界からそのまま出てきたかのような実在のモデルがCGアバターモデルと同様のルックを身に纏って現実空間に現れる…。二次元と三次元を越境するコレクションを通じて、アンリアレイジが追求してきた<日常と非日常の境目を炙り出す独自の世界>を改めて提示した。
披露されたのは、全てのパーツが三角形の“ポリゴン”でつくられた洋服。2021年春夏コレクション「HOME」で描いた、まるで結界のように人を守る三角錐の空間を、今季は三角形のパーツで表現した。
服を構成するポリゴンテキスタイルは全て“平面”だが、ボンディング技術によって集積させていくことで“立体的”な服へと変化するのも面白い。パフスリーブやフレアスリーブなど、平面のパーツで構成されていることを忘れさせるほどボリューミーなワンピースが展開された。いずれも足元には、三角形のデザインを取り入れたユナイテッド ヌードとのコラボレーションシューズを合わせている。
中には、ポリゴンから成る直線的な花柄をあしらったトップスやスカートも登場。現実の象徴である<有機的な花>とデジタルの象徴である<無機的なポリゴン>をミックスさせたこれらのアイテムは、今季のテーマを象徴するかのような一着だ。手元に“本物の花”が閉じ込められたアンエバーのバッグを添えるなど、スタイリングにまでコンセプトを反映させているのも魅力だ。
そんなユニークなコレクションの中で一際異彩を放つのは、仮想世界に紛れ込んだかと思わせる“光る服”。これまでにも光の位置と見る角度によって色が変化する服を提案してきたアンリアレイジだが、今季は光の再帰性反射技術を発展させて、ありとあらゆる色を反射光に変化させた。
素材には、古着のデニムやデットストックの織物を使用。時の経過を感じさせるマテリアルに再び命を吹き込み、現代の服として蘇らせた。
なお、ラストルックは、空を飛ぶ鯉にのった『竜とそばかすの姫』の主人公「ベル(BELLE)」によって披露された。映像には、光パッチワークの服を纏ったベルが、ドラマチックに歌を歌い上げる様子が映し出されている。