リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)は、コレクション「000」を渋谷ヒカリエのヒカリエホールにて、2021年9月1日(水)に発表した。
今回の「Rakuten Fashion Week TOKYO」が自身初のファッションショーとなったリュウノスケオカザキ。クリエーションに通底しているのは、「祈り」だ。
広島に生まれたデザイナーの岡﨑龍之祐は、自身が生まれ育った街の持つ歴史や風土を見つめながら、「平和への祈り」について身近に考え、思案し続けてきたという。そんな岡﨑が、古来から続く人々の営みである「祈り」を描き出す表現手法として選択したのが服だった。もっとも人間の身体に近接した表現である衣服を通して、人と祈りの関係性や、その中で生み出された造形の象徴性を描き出していく。
ランウェイは一本道のキャットウォークではなく、空間を取り囲むようにして並んだライトの中心にステージを配置。神前の儀式を連想させるような、緊張感の漂う空間が広がっていた。
リュウノスケオカザキのデザインを特徴づける要素として、形あるものに祈りを込めるという人々の所作に基づいた構築的なフォルムが挙げられる。
鎧のように身体に寄り添うデザインが登場したかと思えば、その一方でダイナミックに反り返るような形によって逆説的に身体性を浮き彫りにするデザインも見られた。たとえば、全て真っ白なパーツのみで仕立てられたピースは、空に向かって突き出ているパーツや、カーブを描く骨組み、透け感のある素材使いによって、儀礼や祝祭を思わせる神秘的な佇まいを形作っている。
また、自然の恵みや人々の生への願いをかけて作られた「縄文土器」からインスパイアされた「JOMONJOMON」シリーズのウェアは、螺旋を描くようにくるくるとうねったパーツが循環してシンメトリーな形に。伸縮性のあるリブ素材や軽量ニットの特製を生かし、ボーンテープを縫い込んだり芯を入れてテンションをかけたりすることで、立体的かつデコラティブな形を生み出している。
赤×青、もしくはフューシャピンクといった鮮やかな色使いのピースや、赤×黒×白のストライプのパーツを組み合わせたピースは「ハレの日」を連想させ、緑やカーキ、淡い水色など、自然となじむような色使いのピースは、プリミティブな空気感を漂わせている。
まとった人の動きと連動して揺れ動く「Nature's Contours」は、花弁のようなフォルムと、昆虫のような色彩、海洋生物のようにしなやかな動きを表現したウェア。自然と人との連関の中に「祈り」の原点を見出し、有機的なアウトラインや躍動感を表現している。ハリのある厚手のメッシュを採用し、ロックミシンをかけて縁取ったひだは、皮膚や尻尾のようにして身体と一体化。自然を内包したり、擬態したり、もしくは自然へと回帰したりする、自然や生命の“循環”を感じさせた。