ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)の2014春夏コレクション。まず目に飛び込んできたのが、黎明期のコンピューターが描かれた総柄のモチーフ。この“過去の未来”を、遠目ではアフリカの民族調に見える柄に仕上げ、オーバーサイズのパーカー、シャツ、ショートパンツ、レギンスといったアイテムに落とし込んだ。L.A.のスケーターとエスニックテイストをミックスしたような、力強いストリートスタイルを紡ぐことに成功している。
ありきたりではないボーダーのモチーフも特徴で、様々なピッチ、柄との組み合わせを駆使することで、定番の柄を新鮮に見せている。スウェットシャツやショートパンツにプリントされた、アフリカの民族の顔写真をポップにアレンジしたモチーフは、日本の戦国武将のようにも見える。
柄の部分は多色使いだが、スタイリングのベースになるカラーは、ブラック、ホワイト、ベージュ、ブルー。素材は、厚手のナイロン、シルクオーガンジー、サテン、ナイロンのメッシュ編み地などのスポーティーな素材を多用する一方で、クラシックなコットン(ポプリン、ギャバジン、ピケ)を使うことでコントラストを付けている。アイテムは、フード周りのデザインに凝ったパーカー、テーラードジャケット、スウェットシャツ、シャツ、ショートパンツ&レギンス、スポーツサンダルなど、いつもの定番の形を並べた。
世を席巻したショーツ&レギンスの重ね着をオリジネーターのひとりとして、その表現にこだわり続けている。変化を常に求めるパリ・コレクションという舞台では、勇気のいることだろう。
アナログからデジタルへ移行する黎明期の電子機器へのオマージュと、近代化と西洋化を拒否して狩猟と農耕による伝統的なライフスタイルを守り続けているアフリカの族への憧憬――リカルド・ティッシは続けることで見えてくる何かを追い求めているのだろう。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)