3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim) 2021年秋コレクションのキーワードは「グラマー」。70年代のエネルギッシュなロックンロールな要素と、ほんのりドリーミーなカントリーなテイストが絶妙に交じり合う、秋の空想の世界へと誘う。
70年代のムードを閉じ込めた今季を象徴するのは、ボウタイやヴィンテージ風レース、クラシカルな“ホース(馬)”のモチーフといった、どこか懐かしいレトロな要素。また当時のファッションを彷彿させるストレートなワイドパンツを取り入れながら、ブランドらしいフレッシュな表現でモダンにアップデートしているのが特徴だ。
例えば、サンバーストプリーツのスカートに合わせたシャツドレスは、クラシカルなシルエットながらも、調節可能な大きなボウタイをあしらうことで、都会的なムードをプラス。また裾をラフに出した着こなしながら、ウエスト位置でカットした端正な裾のラインによって、洗練された表情に仕上げているのが印象的だ。
継続して進化を遂げるスーツは、ツイルを使用したリラクシングなシルエットで表現。コントラストをきかせたトップステッチに、モデルの長い足を覗かせる大胆なスリット、そしてカジュアルなポケットが、都会的かつエフォートレスなスーチングに仕上げている。
そして今季は、心地良さとデザイン性を備えた“ニットウェア”の新しい可能性も探求している。そのキーアイテムといえるのは、生地を“ごろ”っとくりぬいたかのようなエッジィなカッティングのタートルニットだ。“網目模様”を連想させるそれは、セクシーな表情でありながら、纏うものに寄り添う柔らかな肌ざわりが魅力的。コレクションの中では、ミックス&マッチなレイヤードスタイルが主流で、クチュールライクな装飾を加えたウィンドブレーカーや、艶やかなキャミソールドレスと合わせたスタイリングで提案されている。
またスリット入りのニット製ネックウォーマーもまた、秋の装いをモダンに引き寄せてくれる重要な要素である。肉厚のセーターや、スリムなタートルネックと合わせることで、ユニークなボリュームのコントラストを描き出している。中でも目を惹いたのは、タイトなニットドレスとのドッキング。ニット×ニットという組み合わせながら、ショルダーラインに入った大胆なカッティングが、大人の色気を醸し出す抜け感をプラスしてくれる。