ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の2021年春夏コレクションが、2020年10月17日(土)東京・渋谷ミヤシタパークで発表された。
ここ数シーズン、デザイナー坂部三樹郎は“足元”の虜だ。2018年からは、DMM.makeとコラボレーションのもと、スニーカーブランド「ギディーアップ(GIDDY UP)」をスタートさせ、3Dプリントを使用した“ぷくぷく”ソールのスニーカーを展開。2020年春夏には、スニーカーを基軸としたコレクションをランウェイショーで発表した。
足元への興味・関心は色褪せることなく、今季へと繋ぐ。キーワードは「歩くという行為の進化とファッションの関係性」。ショーピースは全て“足元”を起点にデザインされ、スニーカーの延長線上に繋がる形で洋服を作り上げたという。
ファッションの視点から見ると、この製作アプローチは意外性でユニーク。というのも通常洋服は、胸から上、顔周りに目がいくようにデザインされている。しかし、ミキオサカベが理想としたのは、足元に意識を集め、そこから上へ上へと視線を上げていく動線。こういったアプローチからも、坂部三樹郎の探求心が“足元”に集中していることを感じられる。
ウェアは、スポーティー・アウトドアといったエッセンスを取り入れ、機能的に仕上げた。新素材を使ったタイトなレギンスパンツや(ちょうど大雨だったショー当日にもベストマッチだった)フーディジャケット、雨よけの付いたシャツワンピースなど。
小花柄や大きな襟でロマンティックに仕上げたワンピース群も、ロゴ入りの白ソックスと組み合わせることで、快活な印象にまとめられている。白ソックスは圧倒的な存在感で、足元に重点をもっていきたい坂部の望みを具現化させている。
「機能性、ウェアラブルなものを追求したファッションが増えてきたけど、本当にそれで人は幸せになったのだろうか…」とショー終わりに話した、坂部三樹郎のアイデアは、ハッピーなデザインに反映された。最新コレクションは機能性という“今のニーズ”に即しながらも、袖を通すだけで高揚感を味わえる要素に溢れている。
カラーパレットは、ピュアなホワイトや淡いピンク、ライトグリーン、シトラスイエローなど、乙女心をくすぐるラインナップ。そこにホログラムのスパンコールやふわり舞うフェザーなどの装飾や、ランダムなギャザー、ボリュームたっぷりのフリルといったディテールがのれば、フェミニンさはより高まり、装うことの楽しさを教えてくれる。