2013年3月19日(火)、ヒスイ(HISUI)の2013-14年秋冬コレクションが発表された。今季は、チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えた著作、『種の起源("On the Origin of Species") 』をテーマとして据えた。私たちが生きる「現在」は本当の進化といえるのか。私たちは近年、機能性や利便性にばかり目が行っていないだろうか。デザイナー伊藤弘子はそんな疑問をコレクションを通して投げかける。
無造作に複数の布をつなぎ合わせたかのようなファーストルック、降り注ぐ雨のように無数の布が垂れ下がるトップス。布を幾重にもレイヤードしたデザインが特徴的だった。胸元の針金や、粗く大きな縫い目からは無骨な印象を受ける。ブラウンやサンドベージュといったアースカラーを中心としたカラーパレットの中で、落ち着いた印象の淡い虹色のような生地が幻想的な存在感を放っていた。
デザイナーが考える、本来のヒトとしての進化・可能性は、「個々のプリミティブな部分を知的に洗練させること」。ボヘミアンな雰囲気を纏ったコレクションは、「現在」とは離れた所で自分たちの文化を築く、ヒスイ流の少数民族を思わせる。