リミ フゥ(LIMI feu)は、2020-21年秋冬コレクションを発表した。

幾重にも布地を重ねた分量感

アウターの上からストールをざっくりと巻き付けた放浪する人々の装いのように、服や布地そのものを重ねた、布の分量を感じるルックが散見された今季。レッドのラップドレスは、ドレープの生まれる布のゆるみをつまんで結ぶことでフォルムに緩急をつけ、ブラックのドレスはひだを崩すようなパターンメイキングを採用することで、予想のつかない意外性のあるフォルムに。

布地を寄せ集め、ダイナミックかつ立体的に構築したホワイトのドレスは、よく見ると所々にイエローのドローコードが配されている。ブラックのジャケットとプリントシャツに組み合わせたブラックのスカートにも同様にドローコードが配されており、ボリューム感やフォルムを調整できるようになっている。

退廃、不均一さ、綻び

穴の開いた白のドレス、ほつれやダメージ感のあるロングニットなど、退廃的なデザインも目を引くポイントだ。布を幾重にも重ね、複雑に構築したジャケットとボリューム感のあるスカートの着こなしには、荒い編み目のニットストールを羽織ることで、いびつさや綻びをさらに強めた。一見ランダムなように見えるものの、絶妙なバランスで構築された独自のシルエットには力強さが宿る。

カーキ、グレー、パープルといった、土っぽい色味の生地を重ねてアシンメトリーに繋ぎ合わせたドレスや、ダイナミックに配色を切り替えたロングニットの非対称性もまた、不均一の中の絶妙なバランスで成り立っているのが印象的だ。

躍動する身体

分量感がありつつも、躍動する“動き”を感じられるデザインも注目したいポイント。カーブを描くような袖のオーバーサイズフーディーや、身体の可動性を自由にする袴のようなワイドパンツ、身体を丸ごと包み込むようなゆったりとしたテーラードジャケットなど、着ていながらにして身体を解放するような仕立てのアイテムが散見された。サスペンダーで吊り下げた、股上の深いワイドパンツは、ジャケットの上からオールインワンのようにしてコーディネート。コンフォートで遊びのある佇まいを提示した。