ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2020-21年秋冬メンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
カテゴライズされることのない自由な精神とファッションを楽しむ素直な心。そんなピュアな精神を宿した今季は、思うがままにファッションを楽しむ男性たちにフォーカスを当てた。一般的な常識、当たり前とされるような枠、そういったことは無視して、直感的に好きなものを寄せ集めたコレクションは、パワフルでメッセージ性をはらみながらも、観ているものに快感を与えてくれるようなリラックスした力を持っている。
ランウェイピースに統一性はほぼなく、英国シックなロックテイストと現代ストリートになじむカジュアルさなど、出会うことのなかったジャンルが共存している。ヴィヴィッドカラーの光沢感のあるベルベットボトムスとタイガープリントの開襟シャツ、ヴィンテージ風のデニムパンツ、ボタニカル模様のボリューミーなダウンジャケットがまとまっているのだ。
きゅっと腰回りを絞ったウエストマークの着こなしは繰り返され、メタリックなパプルジャケットもミリタリー調のシャツも、ダブルブレストのテーラードジャケットも、はとめ付きの太いベルトでマーク。かと思えば、くだけたようなルーズな着こなしも同時に提案され、ビックサイズのニットからさらにオーバーサイズのシャツが裾や首回りから顔を出したりしている。
アクセサリーでのデコレーションも“メンズファッションとは思えないほどのバリエーション”で、ジャケットのボタン替わりにビジューのブローチをあしらったり、厚手ニットにネックレスのようにビジューを施したり、メンズライクな着こなしにキラキラのリングをコーディネートしたりしている。
また、光を放つアクセサリー・デコレーションに次いで多く見られたのは、インパクト抜群なファー小物だ。フォックス風のファーストールや帽子などが、テーラードコートやダブルブレストのジャケット、デニムジャケットなどとコーディネートされている。
足元は、ロンドンチックな厚底レザーシューズで。重量感のあるフットウェアは、クロップド丈のボトムスやブーツカットのパンツとの相性は抜群だ。同時に、ボクシングシューズのようなロング丈のスニーカーも展開され、アンバランスな着こなしを助長している。
着こなしは野性的で、インスピレーションのままに組み合わせたような不均衡さがありながらも、きれいに整っているのが印象的。テーラードスーツにニットグローブ、厚手ニットにとろみのある軽やか素材のショートパンツなど、意表をつくスタイルであるのにどれも同じ共通項を持っているかのように仲良く共存している。