ダブレット(doublet)は2020年春夏コレクションを発表した。
「着ることで、周りの人を笑顔にできたら」――ダブレットのデザイナー・井野将之のシンプルな願いだ。
ファッションとは何か。その問いに対してダブレットが導き出した答えは“コミュケーションのツール”。井野の願いを込めた、人と人を笑顔で繋ぐ、思わず笑ってしまうような仕掛けを施したピースを、今季は「隠し芸」というテーマの下で展開する。
自由の女神やラシュモア山、スフィンクスといった世界の観光名所に設置してある“顔ハメパネル”から着想した平面シルエットのシャツは、井野の願いをダイレクトに実現する。オーバーサイズで仕立てたボディをフードのように被り、襟ぐりから顔を出せば何時でも誰でもその場で“顔ハメパネル”を楽しむことが出来る。さながらパーティーグッズの様な可笑しさがあるが、考え抜かれたパターンメイキングがあってこそ実現する一着だ。
雑誌を模ったクラッチバッグにも、表紙を飾る女性の顔をくり抜いて自分の顔をコラージュする同様の仕掛けを施した。普段身に着けていたり、持ち歩いていたりするモノにこんなユニークなギミックがあったら・・・という遊び心をたっぷりと詰め込んだアイテムたちは、人を笑顔にする力がしっかりと備わっている。
Tシャツやカーディガンには、愛のメッセージを乗せた。ただ、そのメッセージは一見しても見当たらない。ボディやスリーブなどに散りばめられた文字のグラフィックを、服を折ったり重ねたり繋げたりして、うまく合わせることで初めて現れるのだ。シークレットな愛のメッセージは、人と人の間に“顔ハメパネル”とはまた違う笑顔を作り出してくれるに違いない。
2019年秋冬コレクションに登場し話題になったオーバーサイズのジャケット類は今季も登場する。今回は“二人羽織り”をするとスリムなシルエットになる不思議なプロポーションのレザーライダースジャケットや、首がストンと落ちているように見えるトリッキーなスーツジャケットをラインナップした。
また、注目したいのが見る角度によって異なる表情を呈するミステリアスな“レンチキュラー”素材のコート。うっすらと透けるボディーで、“透過レイヤードスタイル”という新しいコーディネートを提案する。