Rakuten Fashion Week TOKYOにて、日本とアフリカカルチャーの交流プロジェクト「FACE.A-J(Fashion And Culture Exchange. Africa-Japan/フェイス.エージェー)」が、2019年10月16日(水)に開催された。
「FACE.A-J」は日本とアフリカのクリエイティブ・マーケットを繋げるための架け橋となる新プロジェクト。ファウンダーのブッキー・アデジョビと清子ウンバコが、今回のプロジェクトディレクターであるユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)上級顧問の栗野宏文に「アフリカファッションと東京ファッションを交流させたい」と依頼したことからスタートしたという。
「“アフリカは貧しい国”というイメージを払拭し、アフリカにも素晴らしいクリエーションやそれを生み出すクリエーターたちがたくさんいるということを、日本人に知ってほしい」という想いのもとプロジェクト企画は発展。ファッションだけに留まらず文化的交流を促進することで、日本がアフリカの平和や発展に貢献していくこと、そして互いのクリエーションを刺激し合うことを目指す。
初開催となる今回は、日本ブランドとしてサルバム(sulvam)、ワタル トミナガ(Wataru Tominaga)、コヨーテ(COYOTE)が参加し、アフリカブランドとしてテベ・マググ(Thebe Magugu/南アフリカ)、ケネス・イゼ(KENNETHIZE/ナイジェリア)、アニャンゴ・ムピンカ(Anyango Mpinga/ケニア)が参加した。
サルバムは、「FACE.A-J」でのクリエーション発表にあたって民謡クルセイダーズ(MINYO CRUSADERS)とタッグを組んだ。民謡クルセイダーズは、日本民謡とラテンリズムを掛け合わせて演奏するライブバンドだ。
そんな彼らが身に着けたのは、切りっぱなしのヘムや解れのディテールを取り入れたサルバムらしいにひねりのあるクラシックスタイル。その中に、淡くて明るいカラーリングと、時折和の文化が混ざり合う。そして今回のため、アフリカンクリエイティブにリスペクトを示したチェック柄のジャケットを作成した。
日本にはない独特のカラフルな色彩で描かれるチェック柄と、片側に施したフリンジ状のディテールは、ケネス・イゼが用いていたデザインを参考にしたものだ。これはサルバムのデザイナーである藤田自身の希望から生まれたクリエーションの交流だった。
コヨーテの今コレクションは、リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の山縣良和がスタートしたファッションデザイン教室「ここのがっこう」の若手クリエイターたちによる初めてのクリエーションだ。今回は、参加クリエイターひとりひとりが考える「東京からみたアフリカ」「アフリカからみた東京」を寄せ集めて、まるでオブジェのような作品を作りあげた。
意識したのはサステナブル。さらに、その上で“みんなでつくるひとつのカオス”をイメージしたという。独特な色彩のあチェック柄や自由に咲く花々、大地の色合いはアフリカのイメージからだろう。一方で、ほんのり見えるストリートカルチャーなどは東京らしさのあらわれだ。
大胆なプリントを得意とするワタル トミナガは、アフリカンカルチャーからのインスピレーションを得たことで、よりカラフルでダイナミックなプリントを完成させた。鮮やかなフラワーモチーフや、現代アートのようなグラフィック、波打つユニークなチェック柄など、個性的な柄と柄を融合させてワンルックを完成させた。
ファウンダーの2人は、アフリカはとても広い国で、アフリカンカルチャーをひとくちに表すのは難しいと話す。そして、アフリカでは日本と同じように“個人のポリシー”を持ってファッションを楽しむ人たちが増えているとも。
インターネットが普及し、クリエーションの交流も今までより盛んに行えるようになった今、ヨーロッパやアメリカ、そして日本のファッションが輸入されていると同時に、あえてアフリカンのプリミティブな部分に立ち返ったファッションも、脚光を浴びているようだ。
そんな中「FACE.A-J」では、海外でファッションを学び翼を広げつつも、メイド・イン・アフリカを大切にする3つのファッションブランドを集めた。