パリファッションウィークで発表されたヴィヴィアン・ウエストウッド ゴールド レーベル(Vivienne Westwood Gold Label)の2013年春夏コレクション。カブトムシに関する「for inspiration」という本がインスピレーションの出発点。カブトムシのカラフルな模様や、玉虫色、翅、触角などを、膨らませ伸縮させたフリル付きの共布で作った穴で表現し、それらを継ぎ合わせることで、ユニークなフォルムが生まれてきた。昆虫裁断のように作り上げた服は、人間の体を表現したものでもある。
また、プラド美術館でヴィヴィアンが観たベラスケスの絵画に描かれた衣装にも影響を受けている。袖に切れ目の入った服は大きな帯へと進化している。プリントは、中国茶のパッケージに描かれた模様を色付けし、緻密なアレンジを加えたもの。「シンドバッドの冒険」の世界のように、インドやアジア、ロシア、アフリカ風など様々なトライバルな雰囲気がミックスされた。モデルも異なる民族のヘアスタイルに同じメイクがほどこされ、ヴィヴィアンの求めた風変りなイメージを具現化した。
20世紀初頭に登場し、社会や芸術に大きな影響を及ぼしてきたロシアバレエ団「バレエ・リュス」とその創始者であるディアギレフの影響も。彼の現代的な目を通して新たに解釈されたおとぎ話や神話の世界が、ロマンティックなムードをコレクション全体に与えている。
尚、タイトルの「気候改革」はコレクションとは関係がなく、地球温暖化に対するヴィヴィアンの強い意思表明である。