アナ スイ(ANNA SUI) 2019-20年秋冬コレクションが発表された。テーマは、「ポップミスティック(POPMISTIC)」。
今季のテーマとなった「ポップティミスティック」とは、「Pop(ポップアート)」と「Optimistic(楽観的に希望をもつ)」の2つのワードを組み合わせて誕生した造語。ブランドの原点である60年代のポップアートを着想源に、アナ スイらしいストロングカラーで溢れるコレクションが展開される。
大量のアートポスターをショーのバッグドロップに飾り、“ポスターギャラリー”に見立てた会場には、そんなカラフルなアートから抜け出してきたかのように、色とりどりの洋服を纏ったモデル達が姿を現した。
オレンジ、ブルー、ピンク、パープル…と、それぞれのテーマカラーを持ったモデル達は、ヘアカラーまでも洋服と統一しているのが特徴。パンキッシュに逆立てたショートヘアは、フレッシュに染め上げられ、楽し気なムードを助長している。
チェック柄、アニマル柄、バタフライ柄、ジオメトリック…と様々な絵柄で溢れる今季。中でも花柄の種類は随一で、異なるムードを持ったフラワーモチーフがひしめき合い、ワードローブを彩っていく。ふんわりとしたバルーンシルエットが目を惹くドレスには、鮮やかな色彩の花模様をミックスしてエキセントリックなムードに。一方で、グリーンのオーガンザのドレスには、同色の小花模様を散りばめて、クラシカルな雰囲気を香らせる。
今シーズン最大の特徴となるのは、ブランド初となるダウンコートが登場したこと。オレンジの小花模様を散りばめたプリントダウンコートは、ブラウンで縁どったヘムがアクセントになるデザイン。その下には、大輪の花を咲かせるワンピースを差し込んで、異なる花模様の柄×柄のコーディネートを完成させている。
ダウンコートの他にも、ロングコートやツイードジャケット、ブルゾンといったバリエーション豊富なアウター群がランウェイの上に登場。中でもひと際目を惹いたのが、レオパード柄を大胆にあしらったエコファーコートだ。同柄のエコファーハットと組み合わせた、エッジのきいた着こなしだが、胸元に波打つフリルをあしらったドレスをレイヤードして、フェミニンな空気をプラス。甘さ×辛さの“二律相反”が潜むスタイルは、アナ スイらしい美学が感じられる。
ワードローブを彩る“ポップ”なディテールも印象的だった。パープルのブラウスには、カフスと胸元にたっぷりのフリルを、ドレスやセットアップの裾には、ふわりと宙を舞う毛足の長いユニークな装飾をあしらって。また本来フォーマルな印象をもたらすツイードジャケットには、波打つヘムラインを配して、思い切りガーリーな一着に仕上げていた。