ビューティフルピープル(beautiful people)が、2019年秋コレクションを発表した。
今季のコレクションの着想源となったのは、20代後半という若さでこの世を去ってしまった若き才能溢れるアーティストたち。アメリカのミュージシャン カート・コバーンや、「ザ・ローリング・ストーンズ」でリーダーを務めたブライアン・ジョーンズ、そして伝説的ギタリストのジミ・ヘンドリックスらの“止まって”しまった時間へと立ち返った。
生きた時代もパーソナリティも異なる彼らから見出した、共通の美しさをコレクションの中へと落とし込んでいく。
60年代にイギリスを駆け抜けたブライアン・ジョーンズ。クラシカルなテーラリングに由来するアイテムを、サイズやバランスにアレンジを加えて着こなすのが彼流のスタイリングだった。
その彼のクールな着こなしは、ブランドの遊び心を加えて表現。セットアップのブラックジャケットは、シルク地を使用した本格仕様のタキシード。フォーマルな礼服の下には、白Tシャツを差し込んでラフなムードをプラスする。マニッシュなスタイリングながらも、足元には女性らしさを香らせるピンヒールを合わせた。
ゆったりとしたワイドパンツには、チェック柄のロングシャツを組み合わせて面白みのあるバランスを演出。実はこのチェック柄シャツ、ミリタリーシャツの着丈を長く設定したものであるが、素材に落ち感があるため、分量がありつつも女性らしい柔らかな表情をみせてくれる。
彼らの生きた「70年代ファッション」からインスパイアされたアイテムも登場。鮮やかなグリーンのポロシャツは、当時流行した“ウエスタンシャツ”をもとに制作されたもの。その胸元には、植物をモチーフにしたゴージャスな刺繍があしらわれた。またその袖口はリブに切り替えることで、本来のその細長いシルエットを緻密に再現している。
古着を自由に重ねて楽しむカート・コバーンのスタイリングを参考に作ったのは、90年代のグランジスタイル。彼の着たボーダーTシャツから着想を得たプルオーバーは、60年代ライクなスキニーシルエットで登場。肘まで幕仕上げた裾からは、さらにタイトなインナーが顔を出している。
またボトムスに選んだのは、トップスのシルエットとは相反するツータックワイドパンツ。ヴィンテージのトラックパンツが着想源だというこのボトムスは、トラックパンツの特徴的な両サイドのラインを、生地端に織り込まれた繊細なラインで上品に表現している。