ケンゾー(KENZO) 2019年 秋冬ウィメンズコレクションが、2019年1月20日(日)にフランス・パリで開催された。
今季ブランドが焦点を当てたのは、19世紀に中国・広東省からペルーへと移住したウンベルトのルーツ。見知らぬ南米の土地で暮らし始めた彼らは、異国人と交流によって、カラフルでありながら、どこかオリエンタルなムードが漂う異独自の文化を築き上げていったという。そんな彼らが生み出す色彩を落とし込んだ、コレクションが展開される。
メンズとの合同ショーとなった今季。ウィメンズで最も象徴的だったのは、カラフルに彩られたシャギーなフェイクファーである。ロングコートをはじめ、ヘッドウェア、グローブ、シューズと、幅広く使用され、立体感溢れるボリューミーなシルエットを演出する。エメラルドグリーンに彩られたエコファーのジャケットには、女性の肌を透かせるブルーのドレスを差し込んで。寒色で纏めたスタイリングの中で、相反する素材がコントラストを描くことによって、アウターの存在をより強調させている。
カラフルな色彩が溢れる中で、一段と存在感を放っていたのは、複数の絵具を混ぜたかのようなグラフィック。レッド、ブルー、パープル、ホワイト…と重なるようにして出来上がるグラフィックのセットアップには、その上に、渦をまくようなピンクのグラフィックのトップスを重ねて。躍動感溢れるグラフィックが入り混じる、アイキャッチなスタイリングを作り出している。
“ペルーの米”にインスピレーションを得た、ユニークなアイテムも登場。ミリタリー風のジャケットに重ねられたのは、ケンゾーが生み出した架空のブランド米「黄金の竹」のパッケージをデザインしたベスト。色がすすけた裾や、袖から飛び出す切りっぱなしの繊維から、“米袋”のリアルな表現が伺える。
明るいイエローのニットウェアは、大ぶりのフリンジをたっぷりとあしらったエスニックなムード。けれど女性らしさも忘れてはいけないから、ウエストラインを強調するぴったりとしたシルエットや、裾に大きく入れたスリットなど、フェミニンな要素もプラスしていた。