ナード ユニット(NERD UNIT)は、2019年春夏コレクションを2018年10月19日(金)に発表した。
今シーズンのテーマは、SNSやインターネットに支配されている若者達に向けた“Mindf*cked Generation”。SNSやインターネットは、今や必要不可欠なほど生活に浸透しているツールであるが、その一方で社会的に孤立したり、落ち込んだりする人もどんどん増え、人と人との本質的なコミュニケーションが損なわれている。ソーシャルネットワークに支配されていくことへの反発を、服で表現した。
目に留まるのは、コラージュされたグラフィック。歯を見せたリップモチーフは、顔の見えないネットワーク上で交わされる言葉の象徴だろうか。旧式の箱型デスクトップパソコンや、コンピューターの警告表示とともに、散りばめられているのは「不正常世代」の文字。ソーシャルネットワークに覆われた、不健全で闇を抱える社会を揶揄するようなグラフィックは、オーバーシルエットのブルゾン全面にプリントされ、存在感を放っている。
その他、アナログなパソコンや、脳みそのイラストなどを、スウェットのバックプリントに採用。テーマの“Mindf*cked Generation”は、デジタルなフォントで様々なウェアに投影されている。落書きのような軽快さで、社会の矛盾に対する主張を表示していく。
ネオンイエローやオレンジ、鮮やかなブルーなど、アイキャッチなカラーリングは、スタイリングのアクセントとして大胆に用いられた。ネオンイエローのTシャツや、ブラックのカットソーに組み合わせられたオレンジのパンツは、その鮮やかさでスクリーン上の、若者達の虚像やイメージを浮き彫りにするようだ。
アイテムは、スポーティーなイメージのトレイルスーツやジャケット、リブパンツなどが散見された。タイトなシルエットのタンクトップなどは、アクティブさを表現している。また、スウェットパーカーやアウターはラフなオーバーサイズがメイン。ドロップショルダーのブルゾンは背中と両袖の後ろ側でギャザーと共に切り替えられ、ボリューム感とともにユニークなフォルムに仕立てられている。
また、メタリックやラインストーンでロゴを形作るなど、不良っぽさを感じさせるディテールも見て取れた。ボアの襟をあしらったレザージャケットや、カモフラージュのように見えるペイントなど、力強いウェアの表現、また、モデル達の顔に施されたフェイスプリントは、反骨精神を象徴的に表現していた。