ジバンシィ(Givenchy)の2019年春夏メンズコレクションが、ウィメンズと同時にフランス・パリで発表された。メンズ・ウィメンズの新作を同時に紹介することで、アーティスティック・ディレクターのクレア ワイト ケラーは“ジバンシィカップル”の像を提示した。テーマは「I AM YOUR MIRROR」。
クレアの作る“ジバンシィカップル”像は、両者の要素をコンバインさせた新しい形の男女ペア。男性的な要素をウィメンズに、女性的な要素をメンズに、互いに落とし込むことでジェンダーの境を曖昧にする。目指したのは、メンズ・ウィメンズの間にあるジェンダーレスなデュアル・セクシュアリティ(両性性)の完成だ。
女性のワードローブのトレードマークとして、古くから愛されてきた花のモチーフ。フェミニン、ポエティック、ロマンス…など、女性の美しい世界を描き続けてきたアイコンが、紳士服と交わる。太いベルトとブラックのスラックスに合わせたのは、花模様のシャツだ。テーマに合わせて鏡に映し出したような左右対象的に花々が散りばめられている。
オートクチュールドレスで生かされる、繊細な技術は、メンズのテーラードにも起用される。鏡を詩的に表現するシルバーのスパンコールが、タイトなジャケットの上を覆いつくすようにあしらわれている。
また、ジェントルマン像を破壊するようなアグレッシブなコーディネートも目立った。ストライプのパンツスーツの上にはレザーベストをオン。ライダースジャケットをもとにしたベストは、クラシックなスタイルにハードな印象をプラスする。手にしたバッグは、ブラックのビッグロゴを底に配した大きなバッグ。プレイフルなデザインもまた、モダンな紳士像を作るのに力を発揮している。