チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)の2018年秋冬コレクションが、2018年3月24日(土)、東京・渋谷ヒカリエで発表された。同ブランドは東京コレクションに初参加となる。
デザイナー・志鎌英明が10代の頃から抱いていた流行、社会、時代に流されたくないという強い思いが、チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンスのクリエーションの出発点。不調和の意を持つ"discordance"をブランド名に掲げ、初めてファッションや音楽に出会った時の感動を忘れず、独自のスタイルを守り続けることをブランドコンセプトに掲げる。
東京コレクションへの初参加という記念すべきシーズンに向け、志鎌は自身のスタイルを確立するきっかけとなった90年代のニューヨークに立ち返った。当時まだ中学生だった志鎌が少年時代を過ごしたニューヨークは、シュプリーム(Supreme)が創立され、ラルフ ローレン(Ralph Lauren)からスノーボーディングコレクションがローンチされるなど、まさにストリートカルチャーやヒップホップミュージックの全盛期にあったという。
シーズンテーマとして掲げた"rhythmatic"は、後にヒップホップシーンを牽引することとなるラッパー・ナズ(NAS)が、ファーストアルバム"illmatic"で生み出した造語だ。この言葉が持つグルーブ感、高揚感を、ストリートカルチャーに初めて触れた時の衝動とも重ねながら、コレクション全体で表現していく。
オレンジ、イエロー、ベージュ、カーキといったカラーリングは、"illmatic"のカバージャケットに由来する。ミリタリーテイストのセットアップ、フライトジャケット、オーバーサイズのコートも、ナズをはじめとするラッパーたちが90年代に身に着けていたアイコニックなウェアにインスピレーションを得ている。"rhythmatic"という言葉そのものも、ロゴとしてブルゾンやジャケットのバックスタイルに施されていた。
ショーのラストに現れたのはパッチワークのトレンチコートたち。パッチワークによる表現は、志鎌の洋服に対する敬意の念を象徴している。テキスタイルに一切ハサミを入れず糸をほどくことによってリメイクされたというコートからは、中学の時に買った服を今でも大切に保存しアーカイブとしているという彼の強い信念が感じられた。