チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)の2025年春夏コレクションが、2024年6月6日(木)、東京・港区立郷土歴史館にて発表された。テーマは“nothing usual”。
自分たちの日常に、当たり前にありふれているものをシンプルに表現することを目指した今季。自分たちが普段何を考えているのか、ひいては今どのような音楽、カルチャーに興味があるのかということを、ウェアのみならずDJや会場全体で表した。
コレクション全体を通じて見られたのは、ヴィンテージウェアを解体し、再構築したルックの数々。たとえばデザイナー・志鎌英明がかねてより集めてきたという大友克洋による漫画『AKIRA』のヴィンテージシャツは、袖丈に大きく切り込みを入れることで、下に重ねたシャツを露出させた。
ジャケットは、正面から見ると一見シンプルなものに見えるが、背中はぱっくりと開いた目を惹くシルエットに。まるで目のように開いた隙間からは、サッカー少年だったというデザイナーがアンブロ(umbro)好きであることから所有していたヴィンテージのウェアをチラ見せさせた。
ブランドを象徴するバンダナ柄は、多様にアレンジされてコレクションに散りばめられている。細身のパンツには、バンダナ柄をボーダー風に連ねた。はたまたトップスでは、異なるバンダナ柄をパッチワークで繋ぎ合わせるなどして、様々なアイデアをもって新たなテキスタイルを生み出した。このように、今季は素材を刷新し、オリジナルのテキスタイルを使用しているのも特徴的であった。
ただの無地の素材であっても、一から生み出したものであるということにも言及したい。さりげなく志鎌によるグラフィックがあしらわれていたり、ポコポコと立体感のあるキルティングのような複雑な刺繍を施した表面に仕上げていたりと、単なる無地に留まらないのもポイントだ。
さらに今季目を惹いたのは、ヴィンテージTシャツをバラクラバ風にアレンジしたルック。目元だけを残し頭から肩、胸元にかけて垂れる布は、1枚もしくは2枚のTシャツを刻み、また繋ぎ合わせたのだろうか。多層的な揺れを生み出していた。