マルベリー(MULBERRY)の2018年春夏コレクション、テーマは「未来への回想」。
ジョニー・コカがクリエイティブ・ディレクターに就任して4シーズンが過ぎた。スペイン出身、以前はインターナショナルラグジュアリーブランドのレザーグッズやアクセサリー担当として腕を振るっていたコカであるが、日を追うごとに、マルベリーへの愛とともに英国への関心が深まっているようだ。「英国、イングランドの文化を大切に表現したい」コカの希望が詰まったこの言葉には、今シーズンのキーワードがいくつも隠されている。
一つは英国の陶磁器に描かれたフラワープリント。アンティークブルー、柔らかなピンク、ダスティイエローにテキスタイルの上で蘇った花々は、古きよき時代の趣を維持しながら大輪の花を咲かせドレスへと変身。
紳士淑女が集まる英国ならではの帽子を被る文化そのものもコレクションピースへ。ドレープを入れたり、ひねりを加えてターバン風にしたり、つば広ハットに仕立てたり…。映画『マイ・フェア・レディ』の名シーンにも登場しそうな華やかな帽子が刺激を与える。
装いは20世紀初期に見られた要素をコラージュして制作した。フリルやオーガンザなどをあしらいボリューミーに仕上げたドレス。スクエアカットして身体を包み込むように仕上げたプリントワンピース。洗いをかけたサテンのフレアパンツや、スイムウェアのようにタイトなトップスなどはどこか懐かしさを秘めた優しい佇まいで存在する。
新作アクセサリーは、詩的で斬新な発想を持ってデザイン。陶製の花瓶をイメージした丸みのあるヒールのシューズ、柔らかなナッパレザーで仕立てたバレエスリッパ。ブローチは大振りなピアスとなり、小さなシャンデリアもイヤリングへと姿を変え、驚きのアイデアとともに現代社会へ送り出されている。