アンリアレイジ(ANREALAGE)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク1日目の2017年9月26日(火)に発表された。テーマはPOWER=力。「力を見る。誰も見たことのない服の力。力を着る。誰も着たことがない服の力。服に力を。」デザイナーの森永邦彦は、ショーの前メッセージをくれていた。
パリ左岸のPalais des Beaux-Artsで行われたショーは、真四角な空間に直線的なランウェイ。アンリアレイジにしてはシンプルな空間が今季の舞台のようだ。
先陣を切って現れた、メッシュ地のドレス。華美な装飾はないが、アームの膨らみと重量感、そして何よりぐるぐるに巻かれたテープが目に付く。メッシュだけでなく、シフォンのワンピースやアンリアレイジロゴ入りのTワンピース、スウェットパーカードレスなど、素材・シルエットを変えて様々なドレスが続くが、ぐるぐる巻きのテープは継続的に起用されている。
このテープが時間と共に変化する。アンリアレイジロゴ入りリボンへの変幻を境に、テイストも変化。比較的ガーリーな印象だったコレクションは、スポーツシックへと転換され、クロップドパンツ、フルジップトップス、フード付きジャンパー、トレーニングシーンで活躍するウェアが並んだ。と同時に、身体中に巻きついていたテープは解き放たれ、星のような形を作ったりデコレーションとしての役割を果たすようになる。
テープに新しい機能を見つけた後は、再びライトな素材で作ったガーリードレスへと興味関心を戻す。次々にカラフルなテープを使って装飾を。あるいは、肌に直接ジオメトリックな模様を描いてインナーのような役割に。アーム部分は、テーマである”パワー”を象徴しているのか、たっぷりと膨らみそして広がり、ストロングな印象を観客に植え付けていく。
”カンカンカンカン”ー高音の音が鳴り響くと同時に場内はライトダウン。同時に暗闇から、発光したテープのみのシルエットが浮かび上がった。そうぐるぐる巻きテープの正体は力を加えることで発光する「応力発光」素材。歩いていたモデルたちも、ランウェイ上で屈伸をしたり、腕を曲げ伸ばしたり。こうしてテープまたはテキスタイルに力を加えると、服全体やテキスタイルが光輝き、新しいファッションの形を作り上げていた。