ミュグレー(Mugler)の2012年春夏メンズコレクション。シューベルトとJessica6というBGMの選曲からもわかるように、今季キーワードは「Duality(二重性)」。レディー・ガガのスタイリストとしても有名なクリエイティブディレクターであるニコラ・フォルミケッティ本人の、NYで育ち、ローマでバロックとクラシックの建築や彫刻に囲まれて育ったという生い立ちも影響したという。
彼はフェリーニやパソリーニのネオリアリスト映画に神話やファンタジー以上のものを、ブルース・ウィーバーやハーブ・リッツの写真にマスキュリンな理想を見い出し、そこにポルノやXTube、Bel Amiなどのエロティックな要素も加え、コレクションを誕生させた。
スポーツやオリンピックの英雄の理想像、そして男性のセクシャリティーをカッティングや素材、色、シルエットで表現。前半はクリームホワイト、色褪せたグレイにストーンウォッシュデニム、黒とシックなカラーパレット。クラシカルなテーラリングジャケットやベストは、ウエストで分断されて、裏地をさらけ出す。サイボーグのようなゴールドメタルのヘッドドレスやベルト、アームカバーは、日本の漫画にインスパイアされたものだ。
ストレッチの効いたスポーティーな素材はセカンドスキンのようにボディをなめらかに包み込んで、マスキュリンでセクシーなスタイルを表現。銀河のようなエレクトリックプリントやグラフィカルなパターンは、サイエンスフィクションの世界からピックアップされた。
ネオンカラーが、旨にワッペンを付けたプレッピースタイルを近未来的な雰囲気に染めてゆく。ミュグレーのアーカイブから蘇ったグリーンが爽やかにコレクションを彩った。