ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)は、2016-17年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表した。
様々な文化・テイスト・時代を融合させて、シーズンスタイルをつくり続けているデザイナーのドリス ヴァン ノッテン。今季は、20年代に波乱万丈の人生を送ったルイーザ・カサッティ侯爵夫人と、その恋の相手であるガブリエーレ・ダンヌンツィオの強く情熱的なライフスタイルをインスピレーション源に据えた。
アニマルモチーフを好んだルイーザの趣向は、美しいジャカードで表現されている。レオパードやスネイクなどは、拡大・縮小させて、大きさに変化をもたせながら、ゴールドやシルバーの糸で美しく描く。貴婦人に相応しいスパンコールやビジューの刺繍は、目を見張るほど華やか。彼女が好んだパールのアクセサリーは、糸から離れたバラバラな姿に。ベストとなってレイヤードされたり、プリントとなってスウェットトップスから顔を出している。
女性らしいエレメンツがあふれているが、コレクションピースは、男性服と見間違えるほどダンディズムに染まっている。メンズ特有のピンストライプや大きな勲章バッチがジャケットを飾り、ビックサイズのパジャマシャツやガウン、スーツ地のパンツと交差する。シルクブラウスにはストライプタイが添えられ、ベルベットドレスはオーバーサイズカーディガンで包み込まれた。
‟ノージェンダー”が時代を示す一つのキーワードである現代。ドリスが届けたのは‟ジェンダーを感じさせない感覚”といったところだろうか…。男性と女性の境界線を見失ってしまうほど、うまく溶け込んだ世界は、一種の‟狂気”すらをも感じさせる。