N°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)の2016-17年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2016年2月24日(水)に発表された。
マスキュリンとフェミニン。対極にあるものを時にドラマティックに、時に繊細に描きつづけてきたブランド。昨シーズンは、Tシャツをマッチさせた斬新なドレスタイルを提案したが、今季は、カジュアルダウンさせるというそのフィーリングを残しつつも、新しいN°21のスタイリングを提示している。
ファーストルックは、ビックサイズ(すぎるほど)のバックパックを背負ったノースリーブドレス。光沢あるオレンジ色の生地には、襟元に添ってビジューをデコレーション、さらにリボンも添えて、甘い装飾を加えている。とてもバックパックとは似つかわしくない印象だが、ウェアをよく見てみると、上からシワ加工を施したロングタンクトップが重ねられていて、胸元や袖口は大胆に開いている。不思議とスタイルそのものから快活な感じを受けてくる。しかし、それを否定するかのごとく、裾からはレースが顔を出していて、やはり繊細なウェアなのか…と疑ってしまう。
今季のN°21は、こういった期待に反した仕掛けを繰り返して、複雑なスタイリングを完成させている。ファーストルックを始め、終身提案されているのはアンバランスさ。片方にずり落ちたようなワンピース、シャツの上からジャケットを重ねているのにどこかずれている上半身、ニットドレスから飛び出しているレース素材、長すぎるほどに伸びたドレスのショルダーリボン…。
加えて、アイテムそのものも、固定観念を壊すような動きを見せている。カジュアルなスウェットップスは、前身頃全面に花刺繍をあしらい華やかに。またニットにも、肩から腕のラインにかけて、ビジューを飾りデコラティブに仕上げ、どちらもドレスへと昇華させている。
昨シーズンの名残、大きなバックパックを筆頭としたアクティブな要素は、デニム素材に投影。パネル状にしたスカート、プリーツスカートと組み合わせた大ぶりな襟のシャツなど、形や合わせるアイテムを変えて何度も登場する。ブロックチェックのテキスタイルをワンピースやミドル丈のコートへ転換させているのも面白い。
足元は、タトゥーのようにビーズ刺繍が施されたゆるいストッキングが覆い、その上にサンダルをプラス。綾テープのような太いテープとビジューを重ねたデザインで、やはりここでもアンバランスさは継続されている。