マメ(mame)は、さまざまな土地や地域への旅をテーマに掲げ、毎シーズンコレクション発表をしている。2016年春夏コレクションは、アメリカ・ニューメキシコに焦点を当てた。
その背景には、昨シーズンを終えたあとから、デザイナーの黒河内真衣子が毎晩のように見た夢の影響があるという。幼少の頃は、現実離れしたストーリーに、恐怖や驚きといった感情で心が揺さぶられたものだが、大人になると、何かの暗示のように思えるもの。夢がくれたヒントから、黒河内はアメリカへと足を運んだ。
ニューメキシコの広大な地や有機的なエッセンスは、カラーパレットに反映。乾いた土のようなベージュ、力強く育つ植物を想起させる白みを帯びたグリーン「白緑」に、どろ染めで仕上げた濃いネイビーやグリーンを差し込んでいる。
“気持ちよく眠れる”洋服づくりを目指し、フリンジ付きのジャケットやラップパンツ、ナイトウェアのようなガウンなど、着心地のよいウェアを提案。点在する植物を示したジャカードや花刺繍で彩り、穏やかな空気を纏わせている。一方で、丸みのある胸元やヘムの広がり、それにショルダーラインに配したはしご状のカッティングといったディテールは、女性らしさを追求している。
そんな今季のテーマは、錬金術師を意味する「Alchemist.」。パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト - 夢を旅した少年』の主人公は、ピラミッドの秘宝を追い求めていたが、今シーズン“夢の中の旅を繰り返した”黒河内が行きついたのは、洋服を作ることそのものが自分の「錬金術」であるということだった。