キュレイテッド バイ エック ソンプラサート(CURATED BY EK THONGPRASERT)の2015-16年秋冬コレクションが、2015年3月17日(火)に東京・六本木のメルセデス・ベンツ・コネクションで発表された。
会場となったギャラリーに踏み入れ、しばらく経つと、おや?っと思う時が来た。来場者に配られるのは、アフリカンなお面のブローチ。さらに、壁に映し出された世界史を追う映像がどこか変だ。今の世界がリッチで、パワフルなアフリカ大陸によってコントロールされていることになっている。そう、今回のコレクションのテーマは、「2Q15」。村上春樹の有名小説「1Q84」にインスパイアされた今シーズンは、小説と同じく、私たちを本当の世界とは少し異なる設定の世界へと、知らないうちに連れていく。
ショーが始まると、アフリカンカルチャーを反映させたマスクやスカルなどをビーズやクリスタル、スパンコール、紐の結びなどで表現した装飾のアイテムの数々が登場。まるで、アフリカ文化に世界が席巻されているように、シンプルなシルエットのトップスやワンピース、ジャケットなどが美しく彩られている。また、独特なフォルムのドレスやコートなども登場。流れるようなカッティングが美しく、真ん中で結ぶベルトが細身のボディラインを強調する。
洗練されたシルエットと、どこかエスニックなカラーに投入されるエキゾチックなレッドやオレンジの原色。モードでもありシックでもありながら、アイテムに施される民族調のプリントや刺繍、そして身につけるアフリカンなアクセサリーが、どこの国のものとも似つかない独特な雰囲気を醸し出す。タイ、というファッションのこれからの可能性に溢れた国で培った感性が、このシンプルかつ存在感溢れるコレクションを完成させたのかもしれない。